本研究の目的は、TGFβシグナルの亢進が、脳小血管病態を引き起こすか否かを明らかにすることである。本研究により、TGFβ1過剰発現マウスの脳小血管は脳小血管病患者に類似した構造学的変化を呈することが明らかとなった。加えて、遺伝性脳小血管病の一つであるCARASILの原因遺伝子:HTRA1のノックアウトマウスの脳小血管では、TGFβをTGFβ1と結合し、シグナルを調節するLTBPの上昇が認められた。 これらの結果は、HTRA1喪失下に、脳小血管でTGFβ1シグナルが亢進する分子メカニズムを、初めて明らかとしただけでなく、TGFβ1シグナルの亢進が実際に脳小血管病類似の症状を惹起することを証明した。
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