研究課題/領域番号 |
26860210
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
小谷 武徳 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40455960)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 二次リンパ組織 / 樹状細胞 / SIRPα / CD47 / ストローマ細胞 |
研究実績の概要 |
樹状細胞(DC)の機能制御、DCによるT細胞の活性化制御の詳細な分子メカニズムの理解は、自己免疫病を含めDCの機能異常に伴う疾患の発症機序や、それを克服する大きな手がかりを与えるものであると考えられる。これまでに研究代表者はチロシンホスファターゼSHP-1をDC特異的に欠損させたコンディショナルノックアウト(cKO)マウスが自己免疫病を発症することを明らかにしている。そこで本研究ではチロシンホスファターゼSHP-1の主な基質でありDCに高度に発現することが知られる1回膜貫通型分子SIRPαと、SIRPαのリガンドとして知られる5回膜貫通型分子CD47によって形成される細胞間でのシグナル伝達系(CD47-SIRPα系)の生理機能解析を通じてDCによる自己免疫病発症の制御とその分子機構の理解を目指した研究を行っている。 本年度はDC特異的SIRPα cKOマウスについて詳細な解析を行った。これまでにDC特異的SIRPα cKOマウスの脾臓においてはCD11c強陽性DC(以下、cDC)、特にCD4陽性cDCの顕著な減少が認められることが明らかとなっていたが、さらに他の組織についても観察を行ったところ末梢リンパ節においてはCD4陽性cDCやmigratory DCの顕著な減少が認められ、表皮においてはDCの1つであるランゲルハンス細胞の減少が認められることが明らかとなった。以上の結果から、DCに発現するSIRPαはDCの恒常性の制御に重要な役割を果たしていることが示唆された。 さらに、本年度はDCに発現するSIRPαと非DCであるストローマ細胞上のCD47によって形成されるCD47-SIRPα系の生理機能につき解析を行うことを目的としてストローマ細胞特異的CD47 cKOマウスの作製も進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時に予定していた研究内容を順調に進めることが出来、研究成果については学会や論文での公表を行うことが出来たため。
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今後の研究の推進方策 |
DC特異的SIRPα cKOマウスの二次リンパ組織の詳細な解析を免疫染色法によって行う。この解析によって、二次リンパ組織内でのDCの局在や、二次リンパ組織の非DCから成る構造、DCを二次リンパ組織にリクルートする為のケモカインの局在等について明らかにしていくことで二次リンパ組織のDC-非DC間で形成されるCD47-SIRPα系の生理的役割を明らかにしていく。さらに平成26年度に作製したストローマ細胞特異的CD47 KOマウスの解析により、DCに発現するSIRPαと非DCであるストローマ細胞上のCD47によって形成されるCD47-SIRPα系の生理機能につき解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗状況に沿って物品等の購入を進めたところ差額が生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は持ち越し分を物品費(消耗品)に使用することで、本計画をさらに推進させる予定である。
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備考 |
神戸大学大学院医学研究科 生化学・分子生物学講座 シグナル統合学分野 http://www.med.kobe-u.ac.jp/tougou/signal/Home.html
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