トリプルネガティブ乳癌(以下TNBC)は高悪性度乳癌の一つであるが、いまだ詳細な増殖機構は未知の部分が多い。遺伝子発現解析や免疫組織学的解析により、核内にPAG1(プロテアソーム構成分子のひとつ)という分子が高発現するTNBC症例の生命予後が不良であったことより、核内PAG1の機能について探索を行った。核内PAG1に結合しうる分子を解析したところ、PARP1が核内PAG1に結合しうることを見出した。PARP1はDNA複製に関与する分子で、PARP阻害剤は乳癌治療に臨床応用されつつある。従って、PAPR1に対し核内PAG1が結合することで、PARP阻害剤の感受性を変化させる可能性も示唆された。
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