研究課題
新生仔ラットの心室筋、正常の成獣ラット心室筋、および大動脈縮索(TAC)手術を加えて心不全を生じた成獣ラットの心室筋を免疫染色し、心筋ギャップ結合蛋白コネキシン43(Cx43)の発現分布を観察した。正常心室筋では介在板に局在するCx43が、TACによる心負荷で心筋側面に発現する現象(Lateralization)が確認された。一方、新生仔ラット心室筋では介在板の構成が未熟で、細胞間結合蛋白カドヘリンなどの発現が少なく、Cx43の発現のみ低下する不全心とは異なる所見だった。介在板におけるCx43発現に他の細胞間結合蛋白が関与することは既に知られており、胎生・新生児期のCx43分布と、不全心におけるCx43異常分布は異なるメカニズムであることが示唆された。心筋ギャップ結合の伝導性が細胞内カルシウム制御蛋白のカルモデュリン(CaM)およびII型CaM関連蛋白キナーゼ(CaMK-II)によって影響されるか検証するために、CaM阻害薬W7がギャップ結合の物質輸送に及ぼす影響を、新生仔ラット心室筋培養を用いたScrape loading法で検証した。この結果、CaM阻害でCx43の細胞膜発現が増加し、ギャップ結合を介した物質の透過性が高まることを新たに見出した。さらに、Cx43と連動して心筋細胞の興奮性を制御するKir2.1チャネルの機能に関する研究を平行して行った。オランダの共同研究者から入手した新規Kir2.1チャネル阻害薬PA-6の作用機序を検証する実験を行い、PA-6が細胞内スペルミンと相互作用を持ってKir2.1チャネルを有効に阻害する一方で、細胞内マグネシウムとは相互作用を持たずにチャネル阻害作用が増強されることを新たに見出した。これらの研究によって、PA-6の作用機序解明に寄与した。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
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巻: 未定 ページ: 未定
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