研究課題
サルコイドーシスは、全身の諸臓器・組織に、非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が形成され、様々な臓器傷害を呈する疾患である。本邦において、ぶどう膜炎の原因疾患として上位を占め、心臓病変を主因とする死亡の割合が高い。そのため、サルコイドーシスの予防および迅速な診断法を確立することは、非常に有意義なものといえる。私たちは、サルコイドーシスを対象としたゲノム全域にわたる遺伝子解析(genome-wide association study:GWAS)を完了し、サルコイドーシスの新たな遺伝因子を同定している。本研究では、Imputation法を利用して、既に取得しているGWASデータの再評価を実行し、サルコイドーシスの遺伝因子のさらなる同定を行う。平成26年度は、既に取得している日本人集団を対象にしたサルコイドーシスのGWASデータについて、Imputation解析を実行し、ゲノム全領域の詳細で高密度な遺伝子変異(SNP:一塩基多型)情報を取得した。その後、患者・健常者間でゲノム全領域のSNPの相関解析を実行し、日本人のサルコイドーシスと相関を示すSNPを網羅的に検出した。さらに、網羅的に検出したSNPを対象に、新たな日本人集団およびチェコ人集団を用いて追認試験(再現性の検討:Replication study)を行い、サルコイドーシスと相関を示すSNPを絞り込んだ。今後継続して本研究を遂行することで、サルコイドーシスと真に相関を示す遺伝因子のさらなる同定が期待される。
2: おおむね順調に進展している
本研究では、既に取得しているGWASデータの再評価を実行し、サルコイドーシスの遺伝因子のさらなる同定を行う。現在までに、GWASデータのimputationを完了し、日本人のサルコイドーシスと相関を示すSNPを網羅的に検出している。さらに、新たな日本人集団およびチェコ人集団を用いて追認試験を行い、サルコイドーシスと相関を示すSNPを絞り込んでいる。以上より、本研究は当初の研究計画のとおり、「おおむね順調に進展している。」といえる。今後引き続き研究を進めることで、当初の目標を達成できると考えている。
平成26年度に引き続き、新たな日本人集団およびチェコ人集団を用いて追認試験を行い、サルコイドーシスと真に相関を示すSNPを明確に特定する。その後、特定されたSNPの位置する遺伝子を対象に機能解析(遺伝子発現解析、立体構造解析)を実行し、特定したSNPが疾患感受性遺伝子の機能に与える影響を検討する。
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Nat Commun
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1038/ncomms7689
Eur J Hum Genet
巻: 23(5) ページ: 678-687
10.1038/ejhg.2014.158