研究課題
本研究はヒストンH4リシン残基のメチル化修飾するSmyd2とSmyd3の脂肪蓄積における役割およびそのメカニズムを明らかにすることを目的とし、Smyd2とSmyd3遺伝子欠損マウスを用いて検討を行っている。脂肪細胞は間葉系幹細胞、脂肪前駆細胞から脂肪細胞へと分化していく。そこで、昨年度まで、マウスの耳、骨髄から間葉系幹細胞の分離培養を行い、脂肪組織からは脂肪前駆細胞の分離培養を行い、それぞれ脂肪細胞に分化誘導したところ、脂肪細胞への分化が見られた。間葉系幹細胞は脂肪だけでなく、骨細胞、軟骨細胞にも分化する。そこで、本年度は、マウスの耳および骨髄から分離培養した間葉系幹細胞が幹細胞の性質をもつかどうかを確かめるために、骨細胞および軟骨細胞への分化誘導を行った。骨細胞および軟骨細胞への分化はマーカー遺伝子の発現および形態観察によって検討した。その結果、耳および骨髄から分離培養した間葉系幹細胞は分化誘導により骨細胞および軟骨細胞に分化した。これらの結果は、間葉系幹細胞が幹細胞の性質を持つことを示す。来年度以降は、これらの細胞を用いて、野生型マウスとSmyd2およびSmyd3遺伝子欠損マウスを用いて、これらの遺伝子欠損マウスが異常な脂肪細胞へ分化を示すかどうかを検討していく。
2: おおむね順調に進展している
マウスの骨髄、耳および脂肪組織から間葉系幹細胞および脂肪前駆細胞の培養が可能になった。さらに、脂肪細胞への分化誘導も可能になった。
本年度以降は、野生型マウスとSmyd2およびSmyd3遺伝子欠損マウスから、脂肪前駆細胞および間葉系幹細胞を分離培養し、これらの細胞が異常な脂肪分化を示すかどうかを検討していく。また、Smyd2とSmyd3遺伝子の二重欠損マウスは通常食の採食で、野生型マウスと比較して体重増加を示したが、高脂肪食でも同様に体重増加がみられるかどうかの検討も行っていく。
昨年度は、マウス組織から分離培養した細胞を用いた実験が中心であり、動物実験、細胞株を用いた実験等をほとんど行っていなかったため。
本年度は、高脂肪食を用いた動物実験や、実験の進捗状況によっては細胞株を用いた実験を行っていく。そのため、これらの実験を行うための物品費用として使用する予定である
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Scientific Reports
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