研究課題/領域番号 |
26860234
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
坂井 健二 金沢大学, 大学病院, 助教 (00572306)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 脳アミロイドアンギオパチー / 炎症 |
研究実績の概要 |
本研究の初年度では、研究を遂行するための金沢大学倫理委員会への申請と検体の収集、解析を行うための染色条件の検討を行った。 脳組織でのTREM2やTGFβ1の発現量の解析研究および脳脊髄液における炎症性サイトカインの解析研究、TREM2およびTGFβ1の遺伝子多型の解析研究について、金沢大学医学倫理審査委員会およびヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理審査委員会の承認を得た。 検体の収集に関して、これまでに金沢大学に保存されている試料に加えて、脳アミロイドアンギオパチー(CAA)関連炎症の症例とCAAのみの症例について、解析を行うための脳組織、血液(DNA)、脳脊髄液の追加収集を行った。それぞれ30例を目標としていたが、これまでに収集できている検体数はCAA症例では脳脊髄液 4例、凍結脳 3例、パラフィン標本 11例、DNA 11例で、CAA関連炎症の症例については脳脊髄液 5例、凍結脳 1例、パラフィン標本 3例である。CAA関連炎症の症例は非常に稀少であるため、検体の収集に難渋しているのが現状である。しかしながら、検体の提供について、研究計画では当初予定していなかった愛知医科大学加齢医学研究所に病理検体の提供を依頼済みであり、同大学において検体提供のための倫理委員会への申請を行っている。 脳組織におけるTREM2の発現量の定量的な解析について、免疫組織化学染色用の一次抗体を入手し、最適な染色条件の検討を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CAA関連炎症について、30例の検体収集を予定していたが、現時点では目標を下回っている。CAA関連炎症は脳生検や病理解剖といった組織学的検索が必須の疾患であり、疾患自体が稀少であるためと考えている。 TREM2の免疫染色の条件検討について、購入を予定していた一次抗体を予定通り入手できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
CAAおよびCAA関連炎症の症例について、検体の収集を継続して行う。検体の収集に関して、厚生労働省厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業のアミロイドーシスに関する調査研究班が中心となり、金沢大学神経内科も関与してCAAおよびCAA関連炎症についての全国疫学調査が現在行われている。今後、全国疫学調査で得られた情報を利用し、検体収集を促進させることを考えており、アミロイドーシスに関する調査研究班と調整を行っている。また、神経病理関係の学会における報告症例や論文発表症例について個別に検体の提供依頼も行っていく。 脳組織におけるTGFβ1の解析について、mRNAでの定量的な解析についての条件設定や遺伝子多型の解析についての予備実験も開始する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に試料の提供施設を訪問し、検体内容の確認を行う予定であったが、訪問予定施設での倫理委員会での承認などの手続きを先に行う必要があるため、提供施設訪問に関する経費は繰り越しとした。また、試料の収集が予想より遅れているため、予備実験のためのプライマーの作成やサイトカイン測定試薬の購入のための費用が本年度は不要となった。
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次年度使用額の使用計画 |
試料の収集と確認を継続して行うための旅費として次年度以降に繰り越して使用する。平成26年度は解析のための条件検討に関する予備実験を行えなかったが、速やかに条件検討を開始することを考えており、プライマーや測定試薬の購入を行う予定としている。
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