研究課題
10%ホルマリン固定・パラフィン包埋ヒト病理検体に応用可能なpericyte特異マーカーを検討するためαSMA、PDGFRB、CD90など16種類の蛋白に対する抗体を用いてヒト皮膚の免疫染色を行い、どの抗体もpericyte特異的ではないことを証明した。新規pericyteマーカー検索のため、マウスpericyte、fibroblast、大動脈平滑筋細胞からRNAを抽出し、マイクロアレイによる遺伝子解析および免疫組織化学的検討を行ったところ、myosin 1B(MYO1B)がpericyteに発現していたが、血管平滑筋細胞(vSMCs)とfibroblastsには発現していないことを確認した。ヒト皮膚材料において、MYO1Bと平滑筋マーカーであるh-CDを組み合わせることで、皮膚の血管壁細胞はMYO1B+h-CD-であるpericyte、MYO1B+h-CD+であるmural cells、MYO1B-h-CD+であるvSMCに分類できることを見出した。次に、ヒト皮膚perivascular tumors 54例(angioleiomyoma 28例、glomus tumor 23例、myopericytoma 3例)における腫瘍細胞のpericyteへの分化を検討した。MYO1Bとh-CDの免疫染色を行い各々の成分を半定量的に評価した。その結果、angioleiomyomaはvSMCsの特徴を有していること(MYO1B-h-CD+)、glomus tumorはpericyteとvSMCsの中間の特徴を有する細胞(MYO1B+h-CD+)から主に構成されていること、myopericytomaの中には形態学的にangioleiomyomaと鑑別が難しいものが存在するが、免疫組織化学的にもangioleiomyomaに近い特徴を有するものが存在することを見出した。
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Human Pathology
巻: 62 ページ: 187-198
http://dx.doi.org/10.1016/j.humpath.2016.12.024