研究課題/領域番号 |
26860238
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
松下 倫子 鳥取大学, 医学部, 助教 (70642198)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | CADM1 / MCPyV / immunohistochemistry |
研究実績の概要 |
メルケル細胞癌(MCC)は高齢者に多い予後不良な皮膚の神経原性悪性腫瘍である。本研究課題はMCPyV の感染が影響を及ぼしている病態規定因子を解明し、MCPyVとMCCの病態解明や治療法開発のために役立てることである。本年度は以下の成果を得た。
(1)Real-time PCRにて感染の有無が確認済みのMCPyV陽性MCC16例、MCPyV陰性MCC16症例を用い、作製したMCPyVのST領域に対する抗体(ST-1)の免疫染色(IHC)及びST mRNA -in situ hybridization(ISH)を行い、染色によるMCPyV感染の有無の感度、特異度をMCPyVの検出に通常使用されているMCPyVのLTに対する抗体(CM2B4)によるIHCと比較検討を行ったところ、感度に関してはST mRNA-ISHはCM2B4-IHCと同等、特異度に関しては、ST-1-IHC及びST mRNA-ISHはCM2B4-IHCより優れていることが示され、予後良好なMCPyV陽性MCCをより正確に同定できることが示唆された。
(2)MCPyV非感染例では細胞質が感染例と比べ広く、核の辺縁が不整となることをが示されているが、この形態学的差異を生み出す因子は解明されていない。マイクロアレイデータベースで登録されているメルケル細胞癌の網羅的遺伝子解析データを収集した。細胞骨格、接着に関連する遺伝子の発現変動に注目し、二群比較、Gene Ontology解析、pathway解析を複数の統計学的手法を用い再解析を実施し、得られたデータから細胞接着因子であるCADM1遺伝子を候補とした。また、CADM1及びDAL-1、MAL、MPP3に関する解析をMCPyV陽性、MCPyV陰性MCC症例を用い行った。CADM1、DAL-1、MALに関してMSP解析により、それぞれ、1/18、15/27、1/13症例でhypermethylationが示された。また、IHCでは、MPP3は1例のみで発現がみられ、MCPyV陰性症例はMCPyV陽性症例に比べCADM1の高発現、MALの低発現が示され、予後不良との関連が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究でMCPyV陽性及び陰性MCCの予後因子を示唆することができた。また、研究成果について学会発表を予定しており、論文を作成中である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の成果(2)のCADM1遺伝子等に関して細胞を使用したRNA干渉実験の最中であり引き続き行う。また、MCPyV陽性MCC、MCPyV陰性MCC症例を用い、AID及びMAP kinase signaling系等の解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入した消耗品で一部、安く購入することのできた品があった。
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次年度使用額の使用計画 |
研究に必要な試薬及び消耗品等に使用予定である。
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