研究実績の概要 |
本研究は、早期大腸癌(大腸SM 癌)における浸潤・転移に関与するmiRNAの発現解析を行い、その分子病理学的特性を明らかにすることを目的としている。今年度は、大腸SM癌の病理組織標本(HE標本)50例をレビューし、形態学的な特徴を検討した。腫瘍の大きさ、発育様式、組織型、浸潤部の粘膜筋板状態、深達度、浸潤距離、脈管侵襲、簇出、腫瘍間質の線維化、浸潤先進部のリンパ球浸潤の程度、リンパ節転移の有無などを観察し、これらの結果からSM癌の病理組織学的なデータベースを作成した。さらに、大腸SM癌50例を対象として、病理組織切片から、非腫瘍部、腫瘍部を取り分け、miRNAを抽出した。浸潤・転移に関与すると考えられるmiRNA (miR-31, miR-21, miR-200 family,miR-143)の発現を定量的RT-PCR法により評価たところ、miR-31およびmiR-21は、腫瘍において有意に発現レベルが上昇していることを明らかになった。
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