研究課題/領域番号 |
26860241
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
塩見 浩介 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (70508043)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | コラーゲン / 乳癌 / 線維芽細胞 / 非線維性コラーゲン |
研究実績の概要 |
1型コラーゲンゲル中、ゲル上での浸潤性、非浸潤性乳癌の細胞株の(3次元)培養の予備実験を行った。本実験では、12型、14型コラーゲンを発現する線維芽細胞との共培養を行い、特性の異なる乳癌の浸潤性への影響を解析する予定であり、解析可能な培養条件の確立が必要であるため、培養道具を工夫することで目的に沿った実験系を構築した。研究に使用する間質細胞について、購入することができる乳腺由来の細胞株は数が少なく、乳癌関連線維芽細胞細胞株は調べた限り販路にない。そこで、ATCCより乳癌関連細胞集団を取得し、そこから線維芽細胞を単離した。本細胞は今後、特性解析を行う必要はあるが、乳癌関連線維芽細胞として使用できるのではと考えている。12型、14型コラーゲンの発現ベクターの作成作業を行っている。本遺伝子の発現用ベクターとして販売されているものは未完全なcDNAをもつものがほとんどであり、唯一完全長を含むものは高額であるため、自身での作成を行っている。また、本遺伝子の大きさゆえか強制発現系を用いた報告もなく、機能解析がほとんど進んでいないため、発現系を用いた解析には意義があると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当年度は、乳がん手術検体の乳癌組織より乳癌細胞、間葉系細胞の初代培養を行い12型および14型コラーゲンの発現細胞の複数取得を行う予定であったが、予定を変更し細胞株を用いたin vitroでの解析を先んじて行うことにした。乳癌細胞株の2つのタイプのコラーゲンの発現を定量的PCRとウエスタンブロット法により確認し、使用する細胞株を検索し、1型コラーゲンゲル中、あるいはゲル上での(3次元)培養の予備実験を行い、その後の解析に耐えうるであろう培養法(条件)を決定した。また、研究に使用する線維芽細胞について、ATCCより取得した乳癌関連細胞集団より単離した。2種のコラーゲンの遺伝子導入を行うためのウイルスベクター作成を行っているが、その大きな遺伝子サイズによって12型コラーゲンでの作成作業が遅れ、完了していない。予定していたshRNA発現ベクターの作成は、過剰発現系の構築後に作成する。予定を変更したが、細胞に関する準備は予定通り整った。しかし、発現系の構築に手間取ってしまったため、全体の達成度としては8割程度であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
発現系の構築作業を終了後、①線維芽細胞細胞株への遺伝子導入を行い、各型コラーゲン発現線維芽細胞と乳がん細胞株との3次元共培養を行い、乳癌細胞の振る舞いの変化、遺伝子発現の変化を解析する、②ヌードマウスへ各型コラーゲン発現線維芽細胞と乳癌細胞株を移植し、in vivoでの腫瘍の形態、浸潤性への影響を調べる、③反対に乳癌細胞からの線維芽細胞への影響をコンディション培地での培養により解析する。②について、当初、リコンビナントコラーゲンタンパク質との乳がん細胞の移植を行う予定であったが、持続的に発現する間質系細胞が近傍に存在する方が良いとの考えより、実験方法を変更する。以上の3つの実験により、2つの型のコラーゲンを介した乳癌-間質細胞の関係を調べていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、タイムラプス観察が可能な培養装置の購入を予定していたが、3次元培養の予備実験を行ったところ、培養時間が長いこと、観察が難しいこと、固定による観察法を確立したことにより購入をとりやめた。3次元培養予備実験時に必要となった別物品との価格差により翌年度使用分が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
翌年度に予定していた、ヌードマウスへの細胞移植実験に加え、in vitroでの培養実験を追加したため、当該実験へ使用する予定である。実際には、培養用材料の購入に加え、アレイ等による発現解析を行おうと考えている。
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