研究実績の概要 |
本研究の目的は,胆道癌の腫瘍性腺管と非腫瘍性腺管における癌関連遺伝子のプロモーター領域のメチル化を解析し,胆道癌における発癌過程で癌関連遺伝子のメチル化がどのように関与しているかを明らかにすることである。 当院で手術された胆道癌の新鮮手術材料から,サンプルの純度を高めるため腺管分離法を用いて純粋な上皮成分のみを分離し,組織標本作成用サンプルとDNA抽出用サンプルに分けて採取した。前者からはHE染色標本を作製し,間質を含まない腺管であることを確認し,後者からはDNAを抽出した。 2008年の研究開始から現時点までで,胆管癌のサンプル(腫瘍腺管,非腫瘍腺管)を36症例集積した。また,胆嚢癌(胆嚢管癌をふくむ)のサンプル(腫瘍腺管,非腫瘍腺管)を17例集積した。現時点で合計53例のサンプルを集積した。これらのサンプルから一部を組織標本作成用サンプルとして採取し,パラフィン包埋してHE染色標本を作製し,分離腺管の形態解析を行った。他方,採取した分離腺管からDNAを抽出し,このDNAから癌関連遺伝子のプロモーター領域のメチル化をpyrocequencing法で解析した。解析した遺伝子は最近の知見から,LOX, MINT31, RUNX3, SOCS1, ELMO1, THBD, NEUROG1, p16, MLH1, LINE1, mir34について行った。現在,胆管癌の癌関連遺伝子のメチル化解析が終了し、胆嚢癌についても解析を進めている。また,胆管癌のp53, KRAS, BRAFの変異について解析が終了し,癌関連遺伝子のメチル化との関連も検討中である。
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