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2014 年度 実施状況報告書

悪性黒色腫治療における解糖系・酸化ストレス制御に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 26860243
研究機関東北大学

研究代表者

葛西 秋宅  東北大学, 生命科学研究科, 助教 (20609664)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワードNRF2 / NQO1 / IDP / Proliferation / 17-AAG / Melanoma
研究実績の概要

これまで悪性黒色腫で同定されたKEAP1遺伝子変異によりNRF2が恒常的活性化することで酸化ストレスやdacarbazineに耐性を持つことが明らかになった。NRF2の標的遺伝子であるNQO1の発現を解析したところ、KEAP1遺伝子が野生型であってもNQO1高発現の細胞株があることが分かった。本研究ではNQO1により還元され活性化する抗癌剤として知られる17-AAGがNQO1高発現株に対して有効であるか、またNQO1の第二の機能として不定形タンパク質の安定性制御が癌細胞の機能に関わる可能性を検討した。
悪性黒色腫9株においてNQO1発現量と17-AAG感受性に有意な負の相関が見られた。また、活性酸素種を伴う抗癌剤であるcisplatinあるいはdacarbazineとの併用による相乗効果についても解析したところ、17-AAG/cisplatin併用でのみ単剤に比べ相乗効果が見出された。しかし、NQO1誘導は見られず、cisplatinが17-AAG耐性に関与する熱ショック応答転写因子HSF1の活性化を阻害していることが示された。
NQO1高発現の悪性黒色腫において、NQO1のノックダウンにより細胞増殖の抑制が観察された。また、NQO1活性阻害剤であるES-936処理により17-AAG感受性は低下したものの、細胞増殖への影響は見られなかったため、NQO1の酵素活性非依存的な機能が細胞増殖制御に関わっている可能性が見出された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

NQO1高発現の悪性黒色腫に対して17-AAGが有効であることについては現在論文投稿中である。NQO1の酵素活性以外の機能として不定形タンパク質の安定性制御の報告があり、不定形タンパク質のデータベースがあるため、細胞増殖制御に関連する候補についてさらに解析を進める。また、NQO1と相互作用するタンパク質をLC/MS/MSで解析し、酵素活性を特異的に阻害するES-936と比較し、不定形タンパク質との相互作用を阻害するcurcuminにより相互作用がなくなるバンドを解析することでNQO1の下流を明らかにできると考えられる。

今後の研究の推進方策

研究目的の3番目としてmetforminを用いた悪性黒色腫治療の可能性に関して、悪性黒色腫の培養細胞で実験したところ臨床で使用されるよりはるかに高濃度でしか毒性が見られなかったため、薬剤の評価に使えないと判断した。また、ポストドクターの任期終了に伴い研究室を移り、様々な癌腫の細胞株を自由に使える環境にないため、悪性黒色腫に絞って解析を進める予定である。今後は悪性黒色腫においてNQO1発現量をマーカーとして17-AAG併用に向けたデータを追加し論文投稿する予定である。また、NQO1による不定形タンパク質制御については、細胞周期についてさらに解析を進め、不定タンパク質の候補を絞り込む予定である。現在の研究室のテーマでLC/MS/MSを行う環境にあるため、NQO1と相互作用する下流分子の同定についても平行して進める。

次年度使用額が生じた理由

ポストドクター任期終了に伴い研究室を移ったため実験が遅れ、抗体作製依頼やタグ融合タンパク質の大量培養などの実験が平成27年度になった。

次年度使用額の使用計画

現在、作製した抗体の一部を使って予備実験を行っており、この結果をもとにさらに精製が必要か判断し、追って納品する予定である。また、免疫沈降にも利用できるか実験を行う予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 悪性黒色腫におけるNRF2/NQO1高発現とHSP90阻害剤17-AAG感受性2014

    • 著者名/発表者名
      葛西秋宅、柴崎晶彦、三浦慎平、安平進士、前沢千早
    • 学会等名
      第37回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2014-11-25 – 2014-11-27

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公開日: 2016-06-01  

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