前立腺癌や乳癌において、性ホルモン不応性の癌の再発が問題となっている。今回の研究で、内分泌治療の前立腺癌のみならず化学療法後の乳癌においても、Rho活性化を介した上皮間葉転換(EMT)様変化が見られることを確認した。一方で、性ホルモン除去下の前立腺癌細胞には細胞老化や抗酸化反応が誘導されていること、細胞老化は抗酸化剤やTGFβシグナルにより抑制されることを見出した。治療後に生存する前立腺癌や乳癌細胞は、細胞老化の誘導とそれに伴う特異な分泌形質を示し、抗酸化反応などで細胞老化を回避する過程でRho活性化を介したEMT様変化を来して治療抵抗性を示していると推測される。
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