研究課題/領域番号 |
26860248
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
森田 茂樹 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30707021)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | microRNA / 肺癌 / 間質 / マイクロダイセクション / in situ hybridization |
研究実績の概要 |
本研究では、肺癌間質でのmicroRNAの発現異常を検討するために、本年度は以下の検討を行った。 1.前年度に行った浸潤部及び非浸潤部からマイクロダイセクションを用いて抽出したRNA及び細胞株を用いたマイクロアレイの結果をもとに候補microRNAの選定を行った。miR-199a、miR-199b、miR-23c、miR-29c、miR-98が検討候補として考えられ、加えて既報などに多く認められるmiR-21についても細胞株でのアレイでは差が認められた。今後対象となるmicroRNAに対するreal time PCRやいin situ hybridization(ISH)についての検討を加える予定である。 2.miR-199a及びmiR-199bの標的遺伝子として、肺線維症での検討でTGF-βに関係する線維化と関係が報告されているcaveolin-1及びcaveolin-2に注目し、免疫組織化学的検討を開始した。caveolin-1については条件検討が終了し、caveolin-2と合わせて、TMAを用いたmicroRNAのISHやCAFマーカー(α-SMA、vimentin等)や臨床病理学的な情報と合わせて検討を加える予定である。 3.肺癌細胞株と肺繊維芽細胞株をを用いて3次元培養(層状培養)の検討も行った。3次元培養したメンブレンを用いて、パラフィン切片作成及び免疫組織化学的検討(AE1/AE3やvimentinなど)は可能であった。microRNAのISHについては、染色性が弱く、継続して検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
所属施設の移動に伴い、条件などについて追加検討する必要があり、やや進行が遅れている。今後、細胞株を用いた検討と並行して、TMAや3次元培養による免疫組織化学的検討を行うことで当初の予定通りの進行を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
1.マイクロアレイの結果をもとに今回選定されたmicroRNAについてin situ hybridization (ISH)を追加で施行していく。非腫瘍部と癌部(非浸潤部及び浸潤部)の間質でどのように差があるか、間質のどの細胞(線維芽細胞、マクロファージ、血管内皮、リンパ球)に由来するかを明らかにする。 2.すでに施行済みのISH及び免疫組織化学的染色結果について、臨床病理学的因子と合わせた解析を行う。喫煙との関連や予後不良性、EGFR 変異との関係性も合わせて検討する。 3.機能解析のための細胞株を用いた実験を行う。間質由来の培養細胞株で同定されたmicroRNA の強制発現ないし発現抑制を行い、増殖能(MTT assay)や浸潤能(invasion assay, wound healing assay)などを観察すると共に、microRNA 標的遺伝子候補や浸潤・増殖に関与する因子(TGF-β等)について検討する。また、肺癌細胞株に対して前記の間質細胞との共培養や間質細胞の培養液を用いた培養を行う。 4.肺癌細胞株と肺繊維芽細胞株をを用いて3次元培養での検討では、microRNA ISHの条件検討を続けるとともに通常の免疫組織化学的染色を用いて標的遺伝子やCAF関連蛋白などの発現を見る。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は免疫組織化学的な検討中心で、比較的費用のかかかるin situ hybridizationや細胞培養での強制発現系や発現抑制系などの検討が少なかったためと考える。また、所属の移動などに伴い、やや計画の進行が遅れた点も影響している。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度に行えなかったmicroRNAに対するin situ hybridizationの追加検討及び標的蛋白に対する免疫組織化学的検討に加え、細胞株を用いた強制発現系や発現抑制系等の分子病理学的な検討で使用する。
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