研究課題/領域番号 |
26860253
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研究機関 | 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所) |
研究代表者 |
笠島 理加 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), その他部局等, 研究員 (20630875)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 次世代シークエンサー / Ion PGM / 前立腺癌 / 遺伝子変異解析 |
研究実績の概要 |
前立腺癌の日本人における大規模な遺伝子異常解析の報告はなく,更に前立腺癌の発症機構には,欧米人(白人)と日本人の間で「地域差/民族差」があることがわかっている.本研究では日本人の前立腺癌について次世代シークエンサーを用いて準網羅的にがん関連遺伝子変異を解析し,更に病理形態学的,分子腫瘍学的解析を加えて,本邦前立腺癌に特徴的な発生機序の解明と,これに立脚した診断・治療の標的となる分子や情報伝達経路(pathway)の探索を行うことを目指した. 本年度,ライフテクノロジー社製409種類のがん関連遺伝子変異解析パネル(comprehensive cancer panel :CCP)を用いて,外科切除凍結前立腺癌の遺伝子変異解析を行う予定であったが,CCPを用いた異なる遺伝子変異解析結果においてTP53など数種類の重要ながん関連遺伝子の変異検出が出来なかった.そこで,すでに報告されている前立腺癌に関連する遺伝子解析研究およびデータベース検索などに基づき,前立腺癌に関与すると考えられる71種類の遺伝子のエクソン領域について解析できるオリゴのセット(KCC Pa71)をライフテクノロジー社のIon Ampliseq Designerシステムを利用してデザインし,作成した.また,作成したPCa KCC41を用いて71種類の前立腺癌関連遺伝子のIon PGMによる配列解析が行えるかどうかを前立腺癌凍結検体を用いて解析兼確認を行った.その結果,平均Total reads 3902663bp,平均coverage 1850,平均Map reads 97.64%,であり,充分配列解析を行えるクオリティであった.次年度は作成したPCa KCC41を用いて,更に前立腺癌凍結検体におけるがん関連遺伝子変異を解析していく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1,当初、前立腺癌の配列解析に使用する予定であったライフテクノロジー社製のがん関連遺伝子409種類を解析するパネルではTP53のような主要ながん関連遺伝子を解析することが出来なかった.そのため、配列解析に用いるパネルを変更することとになったが,おおむね順調に進んでいる. 2,配列解析に用いるパネルの変更により、新たに前立腺癌と関係が示唆される遺伝子のオリゴのデザインおよびそのパネルの確認実験を行うことになった.
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今後の研究の推進方策 |
作成したPCa Kcc71を用いて,約20症例の日本人の前立腺癌患者における凍結検体を準網羅的にがん関連遺伝子変異を次世代シークエンサーをIon PGM用いて解析し,更に病理形態学的,分子腫瘍学的解析を加えて,本邦前立腺癌に特徴的な発生機序の解明と,これに立脚した診断・治療の標的となる分子や情報伝達経路(pathway)の探索を行うことを目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初,予定していたがん関連遺伝子パネルを購入せず,新たにパネルを作り直したため,費用が予定より掛かってしまい,解析用試薬を購入することができなかった.予算の不足が見込まれたため次年度と合わせて購入することにした.
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次年度使用額の使用計画 |
解析用試薬を購入する予定である.
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