研究課題
本研究ではEBV感染早期の宿主細胞とウイルスにおけるエピジェネティック修飾と遺伝子発現の変化を経時的かつ網羅的に解析することで、発癌に寄与するDNAメチル化誘導メカニズムを解明することを目的としている。EBVはヘルペスウイルスの一種で、一部の胃癌にEBVの潜伏感染を伴ったEBV陽性胃癌が知られる。本邦では胃癌の7%、すなわち年間約7000人の患者が見込まれており、リンパ腫を含めたEBV関連腫瘍の中では最も頻度の高い重要な疾患だが、その発症機序については不明な点が多い。先行研究によりEBV陽性胃癌が超高DNAメチル化形質を示し、in vitroで胃癌細胞株にEBVを感染させることにより同様のDNAメチル化形質が誘導させられることを証明してきたが、その具体的なメカニズムはいまだ不明な点が多い。今回、被感染細胞としてMKN7(胃癌細胞株)とGES1(正常胃粘膜上皮由来細胞株)を、EBV感染実験にはAkata細胞(Burkittリンパ腫由来浮遊細胞株)を用い、感染早期の経時的な解析を行った。DNAメチル化アレイによりゲノム全体にわたるダイナミックな変化が明らかとなり、次世代シーケンサーを用いたRNA-seq法により宿主細胞とウイルス両者の遺伝子発現を包括的に解析可能となった。現在網羅的に宿主とウイルスの相互作用について解析を進めている。エピゲノム改変因子の解明により、EBV関連疾患の予防と治療に繋がることが期待され、基礎医学と臨床医学にまたがる効果が期待される。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
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