研究課題
①Progranulin(PGRN)・ApoE double KOマウス(DKO)が全身性慢性炎症・早老症モデルになりうるかを検討した。通常飼育にて(1)手足の関節腫脹(関節炎)(2)皮膚炎 の発生率に関して検討を行った。(1)関節腫脹はDKOにのみ認め40週で50%、60週齢以上では80%以上で認めた。(2)皮膚炎もDKOは早期から発生率が高く、40週齢以降では80%以上で認めた。野生型では変化無く、PGRN KO・ApoE KOでは60週齢以降で50%程度であった。DKOは有意に寿命も短く、全身の慢性炎症が起こりやすい老化モデルマウスとなる可能性が考えられた。形態学的にDKOは関節周囲や皮下に炎症だけではなく通常蓄積しない何らかの物質が大量に蓄積していた。②PGRNの抗炎症作用はTNFRアゴニストとしての機序の報告があるが、それ以外の機序の検討を行った。PGRN添加によりAktのシグナルが入ることは既知であるが、TNFR1/TNFR2 KOマウスの腹腔マクロファージにrPGRN添加実験を行ったところ添加濃度依存的にAktのリン酸化が増えることがわかり、TNFRを介さない作用経路の存在が示唆された。③マクロファージのPGRNの役割の検討として骨髄移植実験を行った。ApoE KOに放射線照射し、ApoE KOないしはDKOの骨髄を移植した群に高脂肪食負荷をかけ動脈硬化を評価すると、DKOの骨髄を移植した群で有意に動脈硬化が増悪していた(4.3%,9.3%:p<0.05,n=9)。マクロファージのみPGRNを欠損させても増悪することよりマクロファージのPGRNに抗動脈硬化作用があることが示唆された。④PGRNがHDLと結合している意味の検討として、コレステロール引き抜き能・抗酸化能の検討を行った。PGRN KOのHDLは野生型のHDLに比して引き抜き能が有意に低下していた。ApoE KOとDKOのHDLでは、コレステロール引き抜き能に有意な差はなかったが、抗酸化能はDKOのHDLでは有意に低下していた。
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Methods in Molecular Biology
巻: 未 ページ: 未
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