研究課題/領域番号 |
26860265
|
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
早川 国宏 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 博士研究員 (00573007)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 関節リウマチ / miRNA / SLE / 自己免疫疾患 |
研究実績の概要 |
自己免疫疾患は、体内の免疫系が組織の破壊と機能不全を引き起こし、「自己」物質に対する免疫反応を制御できなくなることで発症する。代表的な自己免疫疾患として関節リウマチ(RA)と全身性エリテマトーデス(SLE)が知られており、近年これらの疾患ではmicroRNA (miRNA) がバイオマーカーとなることが報告されつつある。しかし、これらの変動しているmiRNAが病態形成や疾患活動性にどのような影響を与えているかはこれまでに報告されていない。そこで、本研究は新たに、RA・SLE治療前と治療後で変動するmiRNAを同定することを第一の目的としている。今年度の研究で得た知見の概要を以下に記す。 まず、前年度、RAアバタセプト治療前・治療直後・治療3カ月後で変動する血漿中のmiRNAの同定をmiRNA arrayで行った。今年度はさらにreal-time PCRを用いて絞り込みを行ったところ、3種類のmiRNAが治療(疾患回復)に伴い顕著に変動していた。 また、並行してSLEの治療前と治療後で変動する血漿中のmiRNAの同定も試みた。SLEは疾患背景が多様であるため、治療薬・期間の固定は行わずに研究を進めた。まず、miRNA arrayを用いた解析により、治療前後で32種類のmiRNAが有意に変動していた。現在さらにreal-time PCRを用いて治療前後で変動するmiRNAの絞り込みを行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在までに、RAおよびSLEのmiRNA array の解析は終了している。特にRAアバタセプト治療群については、治療によって変動するmiRNAを3種類まで絞り込むことができており、これらの果たす役割をin vitroで解析を行っている。また、SLE治療群の解析は計画を前倒しし、miRNA arrayの結果を解析し、治療によって変動するmiRNAを15種類まで絞り込んでいる。こちらもさらに絞り込みをかけ、in vitroで解析を進める予定である。一方でRAをモデルとした動物実験にはまだ取り掛かれていない。特に抽出したmiRNAがヒトとマウスで共通ではなかったため、ターゲットとなる正確な遺伝子を明らかにした後、これらの遺伝子発現を阻害する動物実験を行う必要がある。
|
今後の研究の推進方策 |
RAアバタセプト治療群から抽出したmiRNAの細胞内での機能解析に焦点を当て、ターゲットとなる遺伝子を明らかにする。さらに、破骨細胞分化、パンヌス形成(滑膜細胞増殖)、血管新生をin vitroの実験系を用いてこれらの果たす役割を明らかにする。また、これらmiRNAのターゲットとなる遺伝子を同定し、今後のモデル動物を使用したin vivo実験への道筋を立てる。 同様に、SLE治療前後のmiRNA array結果から抽出したmiRNAをさらに絞り込み、これらのmiRNAのターゲットとなる遺伝子を同定する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していた試薬の納期が、次年度となってしまったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
主にmiRNA mimic、miRNA阻害剤、抗体、遺伝子の発現解析・細胞培養関連などの一般生化学試薬の購入に使用する。また、学会参加等、情報収集のための旅費に使用する予定である。
|