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2015 年度 実績報告書

肺腺癌3次元モデルの樹立と間質浸潤促進因子の新規同定

研究課題

研究課題/領域番号 26860268
研究機関近畿大学

研究代表者

加藤 貴史  近畿大学, 医学部, 助教 (40573423)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード肺胞上皮細胞 / HGF / 3次元培養
研究実績の概要

不死化したヒト肺上皮細胞株であるHBE135E6E7細胞(HBE細胞)を肺組織由来ヒト線維芽細胞(MRC-9)とともにマトリゲル中で三次元培養し、細気管支/肺胞構造に類似した導管の房状分枝構造を作出した。このことは、肺の線維芽細胞が形態形成能を発揮していることを示している。肺胞の形態形成に関与する因子を解析し、この線維芽細胞がHGFを特に強く発現していることを明らかにした。そこで、HGFに対する中和抗体を加えたところ、非浸潤性肺癌モデル構造の形成が抑制された。HGF受容体であるMetは肺腺癌で変異や過剰発現が報告されているので、実際にヒト肺腺癌の手術サンプルでHGF-Met systemを解析した。高分化型腺癌と低分化型腺癌をそれぞれ40症例を解析したところ、Metの発現量には大きな違いが無かった。しかしながら、Metにシグナルが入ったことを示すチロシンリン酸化Met (phospho-Met)に関しては高分化型腺癌で、より多くのMet発現陽性症例が見出された。このことから、非浸潤性肺腺癌ではHGFが形態形成に関与していることが考えられる。さらに、HGFが形態形成機能を発揮しているかをin vivoで裏付けるため、肺組織中でHGFがどのような細胞に機能しているかを解析した。肺組織特異的幹細胞であるBASC(bronchioalveolar stem cells)、I型、II型肺胞上皮細胞でMetがどのような発現しているかを免疫染色にて明らかにした。その結果、BASCでのMetの発現は非常に高いことが分かった。そしてBASCは、ATII細胞からATI細胞へと分化していく過程でMetの発現が減少していることを明らかにした。このことは、より未分化な細胞がHGFを必要としており、構造的機能的に分化した過程に必須の形態形成にHGF-Metシグナルが関与していることが示している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Decreased expression of Met during differentiation in rat lung2016

    • 著者名/発表者名
      T Kato, K Oka, T Nakamura, A Ito
    • 雑誌名

      European Journal of Histochemistry

      巻: 60 ページ: 2575

    • DOI

      10.4081/ejh.2016.2575

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Bronchioalveolar morphogenesis of human bronchial epithelial cells depending upon hepatocyte growth factor2015

    • 著者名/発表者名
      T Kato, K Oka, T Nakamura, A Ito
    • 雑誌名

      Journal of Cellular & Molecular Medicine

      巻: 19 ページ: 2818-2826

    • DOI

      10.1111/jcmm.12672

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 肺胞再生の分子機構解明に向けた3次元培養モデルを構築する2015

    • 著者名/発表者名
      加藤貴史、伊藤彰彦、高橋英夫
    • 学会等名
      日本薬理学会関東部会
    • 発表場所
      千葉 明海大学
    • 年月日
      2015-07-04 – 2015-07-04

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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