病理組織学的に進行性多巣性白質脳症(PML)と確定された6症例の脳組織よりDNAを抽出し、次世代シークエンサーにてJCウイルス(JCV)ゲノムの変異を解析したところ、全例に共通して早期タンパク質のT抗原に共通した変異(V392G)を有する株が野生株と共存して3-19%に認められた。In vitroの実験系で変異株は野生株と比較し、ウイルスタンパク質発現及びウイルス増殖能が著しく低下した。変異株が検出されたいずれの症例のPML病変部でも、免疫組織化学ではT抗原の発現が認められた。JCVは、ウイルス増殖に抑制的な作用を有する変異株と共存した状態でPML病変部で増殖していることが明らかとなった。
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