研究課題
平成28年度においては前年度と同様、作製した免疫制御性バキュロウイルスベクターの機能解析、免疫原性の確認ならびにマラリア感染防御効果の検証を行うとともに、ワクチンによって惹起される自然免疫応答の解析を試みた。各種ワクチンベクターの獲得免疫応答ならびに感染防御効果については以下の通りの結果となった。A) 補体抵抗性カセット含有ベクター:補体抵抗性を有するDAFの発現によってDAF未発現ベクターよりも高い完全感染防御効果があることを再度確認された。B) 樹状細胞にターゲティング可能な単鎖抗体発現型ベクター:単鎖抗体発現ベクターを作成できたが、樹状細胞へのターゲティング効果を確認するには至らなかった。C) デコイレセプターカセット含有ベクター:進展なし。D) サイトカイン発現ベクター:IL-12 p40/p35発現型ウイルスをPfCSP発現型基本ベクターとともに共免疫し感染防御効果にを検証したところ、IL-12遺伝子発現がないグループに比べ8倍の感染防御効果を得た。さらにこの免疫方法では3回免疫群だけでなく、2回免疫群でも有効なことを確認した。液性免疫応答を確認したところ、IL-12ベクターの共免疫においてTh1応答優位時に産生されるIgG2抗体応答が上昇していた。E) shRNA発現ベクター:進展なし。ワクチンによる自然免疫賦活化機構を調査するため、HEK293細胞にTLR9遺伝子を共発現させた上で、NF-kB活性をルシフェラーゼレポーター遺伝子を利用して調査した。TLR9リガンドであるCpG-ODN刺激により同活性は上昇したが、バキュロウイルス刺激では変化はなかった。RT-PCRで各種遺伝子発現を調べたところ、バキュロウイルス刺激ではインターフェロン関連遺伝子群の発現上昇が確認され、ユニークなシグナル伝達機構が存在することが示唆された。
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Malaria Journal
巻: 15 ページ: 251-258
10.1186/s12936-016-1297-3