ウェルシュ菌は芽胞のみならず微生物集合体であるバイオフィルムを形成することによって種々の環境ストレスに耐性を獲得している。本研究の微生物の細胞外構造体であるIV型線毛が本菌のバイオフィルム形成やバイオフィルム形態制御および基質への付着性に関与することが明らかとなった。IV型線毛遺伝子の発現は温度によって制御されており、宿主体内温度ではその発現が増強し、付着活性が増す一方で、低温条件下ではその発現が減少し、バイオフィルムマトリクス産生が増強することによってストレス耐性能が上昇した。つまり、本菌は外界の温度を感知して、IV型線毛の発現を厳密に制御することによって環境適応していることが示唆された。
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