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2014 年度 実施状況報告書

Ⅲ型分泌装置の病原因子分泌機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26860289
研究機関大阪大学

研究代表者

川本 晃大  大阪大学, 生命機能研究科, 招へい研究員 (90631523)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワードIII型分泌装置 / サルモネラ / 電子顕微鏡 / 電子線トモグラフィー
研究実績の概要

腸チフスの原因菌であるサルモネラチフス菌は、マクロファージや樹状細胞などの免疫細胞に取り込まれても、III型分泌装置を用いてエフェクター分子を標的となる免疫細胞に送り込むことで、免疫細胞による貪食作用を回避し増殖する性質を持つ。これがチフス性疾患の発症に関与していることが知られている。しかしながら、III型分泌装置がどのような分子機構でエフェクター分子を分泌するのかは明らかになっていない。
本研究はin situの構造情報を得ることができる低温電子線トモグラフィーを用いて、エフェクター分子分泌時のIII型分泌装置の構造解析を行うことで、複雑な病原因子分泌メカニズムの解明を目指す。
エフェクター分子分泌時のIII型分泌装置の構造解析を行うためには、免疫細胞に取り込まれ、貪食回避時のIII型分泌装置を可視化する必要がある。そこで本年度は、マウスの骨髄から分化誘導系を利用してマクロファージや樹状細胞を回収し、構造解析に適した免疫細胞の検討を行った。また、以前の研究で申請者が作製したネズミチフス菌ミニセル内に蛍光タンパク質EGFPを発現させ、免疫細胞感染時のサルモネラの局在位置を簡便に認識できる系を確立した。今後、蛍光顕微鏡で観察した場所と同一の場所を透過型電子顕微鏡で観察する光-電子相関顕微鏡法を用いることで、効率良くIII型分泌装置の構造解析が可能になると期待される。しかし、免疫細胞感染時のサルモネラ内に必ずしもIII型分泌装置が発現しているとは限らない。そこでIII型分泌装置の構成タンパク質に蛍光タンパク質を結合させた変異株を作製し、効率良く細胞内でのIII型分泌装置の可視化、構造解析を進めていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

構造解析に適した免疫細胞の検討に遅れが生じているが、ネズミチフス菌ミニセル内に蛍光タンパク質EGFPを発現させた変異株の作製に成功するなど、免疫細胞内のIII型分泌装置の可視化、構造解析に向けた試料作製は計画通りに進んでいる。

今後の研究の推進方策

引き続き、構造解析に適した免疫細胞の検討を行う。また、作製した変異株と光-電子相関顕微鏡法を用いて免疫細胞内のIII型分泌装置の可視化、構造解析を進めていく。

次年度使用額が生じた理由

構造解析に適した免疫細胞の検討に遅れが生じ、予定していた電子顕微鏡観察用グリッドの購入を見送ったため、繰越金が発生した。

次年度使用額の使用計画

今年度は主に電子顕微鏡観察を行うため、試料凍結用のエタンガスや電子顕微鏡観察用グリッドを購入する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2015 2014

すべて 学会発表 (7件) (うち招待講演 2件)

  • [学会発表] 細菌べん毛のIII型分泌装置の再構築2015

    • 著者名/発表者名
      寺島浩行, 川本晃大, 巽千夏, 南野徹, 難波啓一, 今田勝巳
    • 学会等名
      第88回日本細菌学会総会
    • 発表場所
      岐阜県, 長良川国際会議場
    • 年月日
      2015-03-26 – 2015-03-28
  • [学会発表] Purification and structural analysis of FliF2015

    • 著者名/発表者名
      Kawamoto, A
    • 学会等名
      HFSP Japan Meeting
    • 発表場所
      北海道, ルスツリゾート
    • 年月日
      2015-02-23 – 2015-02-25
  • [学会発表] In Situ Structures of Salmonella Injectisome and Flagellar Type III Secretion System2015

    • 著者名/発表者名
      Kawamoto, A
    • 学会等名
      IGER International Symposium on Frontiers in Biological Research with Advanced Electron Microscope Technologies
    • 発表場所
      愛知県, 名古屋大学(東山キャンパス)
    • 年月日
      2015-01-15 – 2015-01-16
    • 招待講演
  • [学会発表] サルモネラニードル複合体およびべん毛III型分泌装置の細胞内機能構造2014

    • 著者名/発表者名
      川本晃大
    • 学会等名
      次世代顕微サイエンス若手研究部会
    • 発表場所
      兵庫県, 淡路夢舞台国際会議場
    • 年月日
      2014-11-03 – 2014-11-04
    • 招待講演
  • [学会発表] 細菌III型分泌装置のin vitro輸送再構成系の構築2014

    • 著者名/発表者名
      Terashima, H., Kawamoto, A., Minamino, T., Namba, K., Imada
    • 学会等名
      第52回日本生物物理学会
    • 発表場所
      北海道, 札幌コンベンションセンター
    • 年月日
      2014-09-25 – 2014-09-27
  • [学会発表] In situ structures of Salmonella injectisome and flagellar type III secretion systems by electron cryotomography2014

    • 著者名/発表者名
      Kawamoto, A., Morimoto, Y.V., Miyata, T., Minamino, T., Hughes, K.T., Kato, T., Namba
    • 学会等名
      International Biophysics Congress
    • 発表場所
      Brisbane, Australia
    • 年月日
      2014-08-03 – 2014-08-07
  • [学会発表] サルモネラニードル複合体及びべん毛III型分泌装置の細胞内機能構造2014

    • 著者名/発表者名
      川本晃大, 森本雄祐, 宮田知子, 南野徹, Kelly T. Hughes, 加藤貴之, 難波啓一
    • 学会等名
      新学術領域研究「運動超分子マシナリーが織りなす調和と多様性」第2回領域全体会議
    • 発表場所
      北海道, 大雪クリスタルホール
    • 年月日
      2014-06-16 – 2014-06-18

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公開日: 2016-06-01  

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