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2016 年度 実績報告書

グラム陰性菌における外膜小胞の産生誘導メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 26860293
研究機関京都大学

研究代表者

村瀬 一典  京都大学, 医学研究科, 研究員 (40710869)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード外膜小胞 / HlyF
研究実績の概要

大腸菌をはじめとする多くのグラム陰性菌は外膜小胞(OMV)を産生する。OMVは、内包する様々な細菌由来分子を宿主細胞へ輸送しうることが報告されており、細菌の生存戦略においては、一種の飛び道具となる。しかしながら、詳細なOMV産生メカニズムは未だ解明されていない。
本研究では、腸管外病原性大腸菌が保有する病原プラスミド上にコードされているヘモリジンF遺伝子(hlyF)が、OMVの産生誘導に強く関与していることを明らかにした。また、hlyF遺伝子上には糖の異性化に関与するepimeraseドメインが存在し、OMVの産生誘導にはそのドメインが必須であることを明らかにした。
今年度は、HlyFによるOMV産生誘導に関与する遺伝子を明らかにするため、HlyF産生株とepimeraseドメイン変異株を用い、対数増殖期における両者の遺伝子発現変動についてRNA-seqを実施した。RNA-seq解析の結果、有意に発現の減少が認められたのは59遺伝子存在し、その半数以上が鞭毛形成に関与する遺伝子であった。一方、HlyF産生株において有意に発現の上昇が認められたのは19遺伝子存在し、その多くが転写もしくは代謝に関与する遺伝子群であった。
OMVはワクチンとして利用することも可能であり、近年、髄膜炎菌をはじめとする様々な病原細菌へのワクチン開発に利用する試みが行われている。本研究で得られた成果は、hlyF遺伝子の誘導により大量のOMVを産生することが可能となったことから、より効率的なワクチン開発への応用が期待される。
これまでの研究成果については、フランスの研究グループとともに米国感染症学会の学術誌であるJournal of Infectious Diseasesに報告した (Murase K, et al. 2016. J Infect Dis. 213(5):856-865.)。また、現在、フランスの共同研究者とともに「NEW METHOD FOR PRODUCING OUTER MEMBRANE VESICLES」として国際特許を出願中である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [国際共同研究] フランス国立保健医学研究所(INSERM)/フランス国立農学研究所(INRA)/フランス国立科学研究センター(CNRS)(フランス)

    • 国名
      フランス
    • 外国機関名
      フランス国立保健医学研究所(INSERM)/フランス国立農学研究所(INRA)/フランス国立科学研究センター(CNRS)
  • [雑誌論文] Dissimilarities in co-occurrence networks for viable species with in situ function enable discrimination of polymicrobial oral diseases with similar symptoms2016

    • 著者名/発表者名
      T. Shiba, T. Watanabe, H. Kachi, T. Koyanagi, N. Maruyama, K. Murase, Y. Takeuchi, F. Maruyama, Y. Izumi, I. Nakagawa.
    • 雑誌名

      Scientific reports

      巻: 6 ページ: 30997

    • DOI

      10.1038/srep30997

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] DNA-based culture-independent analysis detects the presence of Group A Streptococcus in throat samples from healthy adults in Japan2016

    • 著者名/発表者名
      T. Kulkarni, F. Maruyama, C. Aikawa, T. Nozawa, K. Murase, I. Nakagawa.
    • 雑誌名

      BMC Microbiology

      巻: 16(1) ページ: 237

    • DOI

      10.1186/s12866-016-0858-5

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] New mechanisms of outer membrane vesicles in Gram-negative bacteria2016

    • 著者名/発表者名
      Kazunori Murase
    • 学会等名
      The International Seminar on Applied Microbial Ecology
    • 発表場所
      Temuco, Chile
    • 年月日
      2016-11-25
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2018-01-16   更新日: 2022-02-16  

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