研究課題
これまでに、インフルエンザウイルスゲノムは中心体へと集積し、微小管依存的に輸送されることを明らかにしている。我々は、宿主因子であるYB-1が感染に依存して中心体へと集積することを見出した。本研究では、YB-1による中心体の機能制御機構について明らかにすることを目的とする。感染に応答したYB-1の中心体での集積を、超解像度の蛍光顕微鏡で観察したところ、YB-1は中心体の構成因子として、プロペラ様の特異な局在を示すことも明らかにした。このことから、YB-1は中心体からの微小管重合において、足場として機能する可能性が考えられた。そこで、非感染細胞でのYB-1の機能について、ノックダウン細胞を調製し検討したところ、M期へ進行しても中心体は成熟化せず、M期における核膜の輸送・再構成に異常が見られた。それによって、間期ではnuclear lobulationと呼ばれる早老症患者の細胞で頻繁に報告される形態異常も観察された。
1: 当初の計画以上に進展している
本年度では、YB-1の分裂期における機能を明らかにし、論文として発表できた。感染における中心体制御の分子機構についても、論文投稿準備中である。
YB-1の中心体へのリクルート機構、ならびに中心体でのYB-1の結合因子を決定することが重要である。リン酸化部位の同定およびLC-MSを用いた網羅的探索を進めていく予定である。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
Scientific Reports
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