これまでに、インフルエンザウイルスゲノムは中心体へと集積し、微小管依存的に輸送されることを明らかにしている。我々は、宿主因子であるYB-1が感染に依存して中心体へと集積することを見出した。本研究では、YB-1による中心体の機能制御機構について明らかにすることを目的とする。 H26年度の解析より、感染に応答して中心体に集積したYB-1により、微小管の重合促進が観察された。これにともない、ウイルスゲノムの細胞膜への輸送を担うRab11陽性輸送小胞がコレステロールとともに中心体周囲へと集積することを見出した。コレステロールはウイルスゲノムが子孫ウイルス粒子に取りこまれるのに必須な脂質分子であり、中心体の機能制御を介して、ウイルス粒子形成が質的に制御されていることが示唆された。
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