研究課題
成人T細胞白血病(adult T cell leukemia: ATL)はヒトT細胞白血病ウイルス1型(Human T cell leukemia virus type1: HTLV-1)によって引き起こされ、キャリアの約5%がATLを発症すると推定されている。また、HTLV-1は慢性炎症性疾患(HAMやぶどう膜炎など)も惹起する。日本国内でのHTLV-1キャリアは約108万人と推定されており、多くが南九州を中心に存在する。生体内でHTLV-1は宿主の免疫応答を回避し、最終的にはクローン性増殖をした感染細胞によってATLが引き起こされることが想定されている。HTLV-1のウイルス蛋白の中でHBZ(HTLV-1 bZIP factor)は細胞の不死化に重要な役割を担うことが報告されている。また、他のHTLV-1蛋白と異なりHBZは感染細胞で恒常的に発現することが知られている。しかしながら、生体内でのHBZに対する免疫応答に関する報告は少ない。これまでATLの治療には化学療法や幹細胞移植などが行われてきた。最近では宿主免疫能を利用した樹状細胞療法やヒト化CCR4抗体(モガリズムマブ)による抗体療法などが行なわれている。本研究ではHBZに対する免疫応答を人工的に惹起する方法を開発することで新たな抗HTLV-1療法と予防法を示すことを目的としている。また、HBZをHTLV-1抗原として用いることでATLに対する腫瘍免疫に重要な役割を持つ細胞傷害性T細胞(CTL)やヘルパーT細胞が認識するHBZエピトープを探索する。
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