HIVの垂直感染は妊娠後期に至るまで低い割合で保たれることが知られているが、その分子生物学的メカニズムには不明な点が多く残されている。本研究課題では、HIV-2Vpxと相互作用するタンパク質リン酸化酵素を網羅的に探索し、その中から胎盤組織において特に強く発現するH11に着目し解析した。解析の結果、H11はVpxと直接結合するだけでなくプロテアソーム依存的に分解し、Vpxの本来の機能である抗レトロウイルス因子SAMHD1分解を阻害することで、HIV感染に不利な細胞内環境を構築するのを助ける因子であることが明らかとなった。
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