研究課題
本研究はチクングニアウイルス(CHIKV)感染により発症する関節炎にC型レクチン(糖鎖に結合活性を示す蛋白質)が関与するかどうかを明らかにすることを目的に実施した。認識する糖鎖パターンや生体内での分布が異なる3種のC型レクチン(DC-SIGN、L-SIGN、LSECtin)発現細胞では、非発現細胞と比較してCHIKVの感染性が上昇することを確認した。次に、CHIKVを増殖させた細胞種により各レクチン発現細胞への感染効率が異なることを明らかにした。蚊細胞で増殖させたCHIKVはDC-SIGN発現細胞への感染性が高く、哺乳類細胞で増殖させたCHIKVはLSECtin発現細胞への感染性が高かった。この結果より以下のことが考えられた。蚊の体内で増殖したCHIKVは蚊の吸血時にヒトの皮内に侵入し、DC-SIGNを発現する単球系細胞に感染する。ヒトの単球系細胞で増殖したウイルスは血流に乗り、LSECtinを発現する内皮細胞に感染する。蚊と哺乳類で付加される糖鎖構造の違いがCHIKVの宿主内での動態に影響を与えている可能性が考えられた。CHIKV感染による関節炎と類似の病態を示す関節リウマチでは、関節炎発症部位でC型レクチンの発現量が増加する。CHIKV感染においても関節炎発症部位でレクチンの発現量が増加するかどうかを調べるため、CHIKV感染により関節炎を発症するマウスモデルを構築した。次世代シークエンサーにより、関節炎を発症したマウスの後肢より採取した遺伝子の発現量解析を実施した結果、5種類のC型レクチン関連遺伝子の発現が増加することが分かった。この結果より、CHIKV感染による関節炎の病態形成にレクチン関連分子が関与している可能性が考えられた。
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