研究代表者はHCV誘発性慢性肝炎モデルマウスを用いて、Wnt/β-cateninシグナル伝達阻害剤が新規肝硬変治療薬候補となる可能性を見出した。本研究では、コラーゲン線維の合成と分解を担う分子への作用に着目し、脱線維化機構を解析した。 肝臓中mRNA発現解析の結果、阻害剤はコラーゲン線維合成系を担う分子の発現には影響を与えなかった。一方、コラーゲン分解系を担うMMP-8のmRNA発現上昇が認められ、蛋白質レベルと酵素活性の増加も示された。阻害剤により肝臓内に誘導されるマクロファージ・好中球がMMP-8の産生細胞であることが明らかとなり、これらの細胞群が脱線維化作用を担うと考えた。
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