研究課題
ケモカインを介した白血球浸潤は関節炎の病態と密接に関わっている。我々が同定した新規ケモカイン受容体会合分子フロントは白血球遊走を正に制御する。本研究ではフロント欠損が関節リウマチの病態に与える影響を解明することを目的として、コラーゲン誘発性関節リウマチにおけるフロント欠損がもたらす病態変化を明らかにする。本年度はフロント欠損による関節炎病態変化の解析に向けて、タモキシフェンによるフロント欠損条件の最適化およびC57BL/6マウスにおけるコラーゲン誘発性関節炎の発症条件を検討した。週令、コラーゲン量、免疫部位の検討により、7割のマウスにおいて関節炎の発症を認めた。この条件においてフロント誘導型欠損マウスにおいて関節炎を発症させた。その結果、フロント誘導型欠損マウスにおいて、コントロール群に対して発症率の有意な低下が認められた。一方、コントロール群との関節炎スコアを比較するためには、さらに実験系の安定化が必要であることが判明した。
3: やや遅れている
コラーゲン誘発性関節炎抵抗性とされるC57BL/6系統マウスにおける関節炎の発症に成功したため、フロント欠損マウスでの評価が可能となった。しかしフロント欠損マウスでの関節炎スコアの再現性に問題が生じたため、さらに検討が必要となった。
C57BL/6マウスにおけるコラーゲン誘発性関節炎発症は可能となったが、フロント欠損マウスについては、引き続き欠損誘導条件の検討とともに関節炎発症の効率的かつ安定的な誘導条件の検討が必要である。また関節組織の組織学的・生化学的解析および遺伝子発現解析についても検討を行い、平成27年度に予定している種々の実験条件で得られたサンプルを随時評価していく。また、関節炎発症マウスから分離した細胞の機能的な解析についても検討を行い、フロントの関節炎病態に関与する分子メカニズムの解明を目指す。
本年度の当初計画として、コラーゲン誘発性関節炎発症の検討に重点をおいていたが、発症条件の最適化が順調に進んだことにより、検討のために計上していた試薬の購入費用が予定より少なくなった。
次年度においては、フロントの関節炎病態に関与する分子メカニズムの解明に向けた生化学的解析や、組織学的解析等における解析項目を充実化し、全体の研究費を消耗品費、成果を発表するための学会発表、論文投稿費用に充てることを予定している。
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