研究課題
本研究では新規ケモカイン受容体会合分子フロントの関節リウマチの病態における役割を解明するために、フロント欠損マウスを用いてコラーゲン誘発性関節リウマチにおけるフロント欠損がもたらす病態変化を明らかにすることを目的とする。昨年度に引き続き、タモキシフェン誘導型フロント欠損マウスにおける欠損誘導条件の検討を行い、タモキシフェン投与条件を変更したことにより安定してフロント欠損による関節炎発症の変化を観察することができるようになった。フロント欠損による関節炎病態変化における責任細胞の特定を行うため、関節炎発症マウスの発症関節部位所属リンパ節および骨髄細胞、末梢血細胞、脾細胞のフローサイトメトリーによる血球細胞のポピュレーションについてコントロールマウスとフロント欠損マウスの比較解析を行った。その結果、フロント欠損マウスにおいて、リンパ節および脾臓・末梢血における制御性T細胞サブセットやマクロファージサブセットなど種々の白血球サブセットに変化を認めた。さらにフロント欠損による関節炎病態の変化を詳細に解析する目的で、関節部位の組織解析用のサンプルを作製し、関節炎誘導時の骨表面の性状変化の定量解析を行った結果では、フロント欠損マウスにおいて特徴的な変化を認めた。今後は見出した白血球サブセットの変化と関節炎病態の変化との関係をさらに詳しく解析するとともに、関節炎病態のうちフロントが関与する病態ステージの特定についても解析を進める。
2: おおむね順調に進展している
フロント欠損による関節炎発症に対する影響を安定して観察することができるようになり、発症マウスにおいては血球系細胞に限っても多数の変化が起こっていることを明らかにした。今後は組織学的な解析を進め、関節炎局所の変化と対応する細胞種に着目して解析を行う。
関節炎部位の骨定量解析により興味深い変化が認められたことを受けて、これまでに判明している血球浸潤の変化との関わりについて解析を進める。また組織学的な浸潤細胞の解析や生化学的な解析についても計画通り進める。
興味深い結果の得られた関節組織の解析に重点を置いたことで予定していた生化学的解析が遅れたために関連試薬の購入費用が計画より少なくなり、次年度使用額が生じた。
当初計画に沿って消耗品費、成果を発表するための学会発表、論文投稿費用に充てることを予定している。次年度使用額は遅れの生じている解析項目を実施するためにを使用する。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
Cancer Immunol Res.
巻: 3 ページ: 631-640
10.1158/2326-6066.CIR-14-0190.
生体の科学
巻: 66 ページ: 412-413