研究課題/領域番号 |
26860321
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大海 雄介 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (10584758)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | IgG / シアル酸 / 関節リウマチ / ACPA / ST6Gal1 / CIA / N型糖鎖 |
研究実績の概要 |
自己抗体IgGに付加するシアル酸が実際にRAの病態の抑制に働くのかを明らかにし、さらに糖鎖リモデリングした自己抗体を用いたRAに対する新たな抗体治療を考案するため、下記の検討を行った。 まず、RAモデルマウスにおけるIgGシアル酸の機能を検討するため、CIAを誘導したDBA1マウスから抗原特異的IgGを回収し、IgG Fc-N glycanの構造をLC/MS解析した結果、Navieマウスからの血清IgGに比べ、明らかに、シアル酸の減少が確認された。そこでin vivoでのIgGシアル酸の機能を検討するため、ST6Gal1 flox/flox マウスを作製し、AID-Creマウスとかけ合わせる事によってIgGシアル酸欠損マウスを作製した。上記マウスにおいてIgGシアル酸の欠損が確認されたので、ST6Gal1 flox/flox x AID-Creマウス群とAID-Creマウス(コントロール)群に対しCIAを誘導した結果、コントロール群と比較してST6Gal1 flox/flox x AID-Creマウス群でRAの発症率が亢進した。これにより、IgG上のシアル酸を欠損させることにより、RA症状が増悪することが示唆された。 また、RAにおけるシアル酸付加による自己抗体機能の変化を明らかにするため、RAの自己抗体産生ハイブリドーマを用いて人工的にシアル酸を付加したACC4抗体(ACPA) & M2139抗体(抗II型コラーゲン抗体)を作成し、これらシアル酸付加自己抗体をDBA1マウスに事前投与した結果、らシアル酸付加自己抗体投与したマウスではCIAを抑制することができた。また、シアル酸付加したirrelevant IgGではCIAを抑制することはできなった。これによりシアル酸付加自己抗体がRAの抑制に寄与している事を示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、IgGシアル酸欠損マウスを作製し、RAにおけるIgG上のシアル酸の機能をin vivoレベルで解析し、さらには、シアル酸付加自己抗体がRAの抑制に寄与している事を明らかにしてきた。これは当初計画していた内容であり、現在まで研究はとても順調に進展している。一方、シアル酸付加によるFab、Fc機能の検討はまだ条件検討の段階であり、今後の課題になっている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は上記のように、シアル酸付加によるFab、Fc機能の検討を進め、マウスで確認できた自己抗体上のシアル酸付加によるRAの抑制の分子メカニズムを明らかにしていく。また、上記マウス実験にて確認された自己抗体IgGのシアル酸機能について、RA患者の自己抗体でも同様の抑制機能を示すかを明らかにするため、RA患者ACPAを用いて自己抗体上のシアル酸機能を検討する予定である。
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