研究課題/領域番号 |
26860323
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
森田 大輔 京都大学, ウイルス研究所, 助教 (40706173)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | MHCクラス1 / リポペプチド / 抗原提示 / エイズ / ウイルス感染 / ミリスチン酸修飾 |
研究実績の概要 |
平成26度においては、当該の研究実施計画に記載の通り、「Nefリポペプチド-MHCクラス1分子複合体の構造」を原子レベルで明らかにした。まず初めに、リポペプチド抗原を提示するMHCクラス1タンパク質を大腸菌にて封入体として発現させ、それを適切な条件下でリフォールディングさせることにより、十分量の目的タンパク質を得た。次に、ゲル濾過クロマトグラフィーおよび陰イオン交換クロマトグラフィーによって、SDS-PAGE上でシングルバンドとなるまで精製を繰り返した。具体的な方法論については、Cell. 75:693, 1993などを参照した。この精製リコンビナントタンパク質について、市販のスクリーニングキットを利用して結晶化条件を探索した。タンパク質の結晶が得られた条件をベースに、種々のパラメーターを細かく検討することで結晶化条件の最適化を行った。得られた最良の結晶について、大型放射光施設SPring8において回折データを採取し、類似タンパク質をモデルとして、高い解像度で構造を決定することに成功した。
続いてのステップとして、電子マップに対して注意深くアミノ酸やリガンドを当て嵌め、専用のソフトウェアを用いてリファインメントをかける作業を十分なサイクル数、繰り返し、精度の高い最終的な分子モデルを構築した。以上の成果から、リポペプチド-MHCクラス1分子複合体の詳細な結合様式を先駆けて明らかとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当該の交付申請書においては、結晶化のためのリコンビナント蛋白質を調製し、Nefリポペプチド-MHCクラス1分子複合体の結合様式を構造学的に明らかにすることを平成26年度の研究計画として掲げた。一方、実際の研究成果は、以下の点で計画を上回ると判断する。
1)研究代表者の期待以上に高い解像度で構造を決定することが出来たため、リポペプチド-MHC複合体全体の構造を非常に微細な箇所を含め、明らかにすることが出来た。2)平成27年度に計画している抗原提示経路の解析に必要な細胞株の一部を樹立することに成功し、本年度へのシームレスな移行が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
交付申請書に記載の通り、「リポペプチド抗原提示経路」を本年度の研究対象として設定する。細胞質に存在するリポタンパク質がどのようにして分解され、輸送され、最終的にリポペプチド抗原として、どこでMHCクラス1分子と結合するのか、と言う抗原提示経路についてはほとんど明らかになっていない。そこで、Nefとリポペプチド提示MHC分子とを共発現させた細胞株を複数の細胞種について樹立する。特異的T細胞株への抗原提示を阻害する薬剤を探索することで、必須の因子を推察し、その重要性をノックダウンなどの手法を用いて実証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた最大の理由は、研究が当初の予想以上にスムーズに進行した結果、余分な支出を最低限に抑えることが出来たためである。また、高価な機器の購入や受託解析に頼らず、大学内にある共通機器を上手く活用することが出来た点も挙げられる。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度においては、この次年度使用額を最大限に活用することで、当初の計画以上に研究が進行することが期待される。具体的には、十分な資金が必要となるマイクロアレイやメタボローム解析など、網羅的解析を研究に組み込むことを検討している。
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