研究課題
平成27年度においては、当該の研究実施計画に基づき、「リポペプチド抗原提示経路の解明」を目指した。細胞質に存在する脂質修飾を受けたリポ蛋白質がどのようにして分解され、それがどのようにして輸送され、リポペプチド抗原はどこでMHCクラス1分子に結合するのか、これらの抗原提示経路の詳細は不明である。これらの点を明らかにするべく、以下の研究を展開した。1) まず、リポペプチドを提示するMHCクラス1分子(LP1分子)の大腸菌リコンビナント蛋白質を作製した。これをアジュバントと共にBalb/cマウスへと頻回に免疫感作した。十分な血清抗体価が得られたマウスより脾臓細胞を回収し、ミエローマ細胞との細胞融合を行った。増殖の見られたハイブリドーマの中から、LP1分子を認識する抗体を産生するクローンをELISAとフローサイトメトリーによって選び出した。得られた単クローン抗体のヒトMHC分子への交差反応性を検証し、特異性が極めて高い有用な抗体を複数、樹立することに成功した。2) 内在性リポ蛋白質からリポペプチド特異的T細胞を活性化できる実験系を立ち上げることが肝要であると考えた。そこで、モデル抗原としてサルエイズウイルス(SIV)由来Nef蛋白質を選択した。Nefの細胞毒性を避けるため、まずはドキシサイクリン依存的にNefを発現する細胞株を樹立した。Nefの発現はウェスタンブロッティングによって評価した。次いで、この細胞にLP1分子を導入し、上記で得られた単クローン抗体によって安定発現細胞株を樹立することに成功した。
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Nature Communications
巻: 7 ページ: 10356
10.1038/ncomms10356.
http://www.virus.kyoto-u.ac.jp/about/y2015/sugita201601.html