研究課題
本研究課題により、これまでに知られていないArid5a分子によるT細胞過剰活性化機構を明らかにした。我々の以前の報告により、Arid5aは、mRNAを安定化するRNA結合タンパク質として機能する。本実験により、T細胞におけるArid5a分子は、そのサブセットの1つであるTh17細胞により特異的に誘導され、Th1、Th2およびregulatory T細胞において発現上昇は認められなかった。IL-6依存的に誘導されたArid5aが、Stat3 mRNAの安定化に寄与することで、Th17細胞の分化を促進することを明らかにした。Arid5aは、Stat3 mRNAの3’末端非翻訳領域に結合し、RNAを分解するRegnase-1と競合することで安定化することを明らかにした。T細胞においてSTAT分子は、その分化の運命決定に寄与することが知られているが、Arid5a分子の機能を欠損するとSTAT3活性の減少に伴い、相対的にSTAT1分子の活性化が誘導された。結果として、Th17細胞の分化が阻害されるだけでなく、抑制性のT細胞へと変化した。Arid5aを欠損したT細胞をTh17細胞分化条件で培養し、T細胞およびB細胞を欠損したマウスに誘導しても、自己免疫性脳脊髄炎がWTと比べて緩和された。このように、T細胞におけるArid5a分子は、STAT3分子の活性化に寄与し、炎症性のTh17細胞を促進することが分かった。さらには、インフルエンザにおけるIL-6の過剰産生による肺障害の原因因子としてArid5aが機能しているかどうかPR8株を用いた感染実験を行った。結果としてArid5a欠損マウスは感染するものの、炎症性サイトカインの減少等により致死率が改善された(現在進行中)。
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Journal of Experimental Medicine
巻: 213 ページ: 605-619
10.1084/jem.20151289