現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Spi-Cはミエロイド系細胞では、red pulp macrophageおよび腸管Mreg細胞にしか発現しない。溶菌酵素であるlysozymeのファミリー分子lysozyme 2 (lysm)の発現が、red pulp macrophageに比べMreg細胞で顕著に高いことより、LysM-cre;Spicflox/floxマウスを作成した。Spicflox/flox, LysM-cre; Spicflox/flox マウスよりMreg細胞を回収しSpi-Cの発現を解析した結果、LysM-cre;Spicflox/flox Mreg細胞で顕著なSpi-C発現低下が示された。Spi-C欠損マウスにおいてもMreg細胞の減少は示されなかったことより、Spi-CはMreg細胞の生存に関与しないことが示唆された。次に、LysM-cre;Spicflox/floxマウスを用いてデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)腸炎に対する感受性を解析した。その結果、コントロールマウスに比べLysM-cre;Spicflox/floxマウスにおいて重度の体重減少および大腸組織炎症症状が示された。そこで、コントロール及びLysM-cre;Spicflox/flox Mreg細胞におけるLPS刺激依存的なサイトカイン産生をELISA法を用いて解析したところ、LysM-cre;Spicflox/flox Mreg細胞でIL-6やIL-10の産生が上昇することが明らかとなった。NucleofectionによりSpi-Cを強発現させた骨髄由来マクロファージでは、コントロール細胞に比べ、LPS刺激依存的なIl10, Il6, Tnfの発現が顕著に低下することが示された。これらの結果より、Spi-CがMreg細胞における炎症性サイトカインおよび抗炎症性サイトカインの発現を負に制御する転写因子であることが示唆された。
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