平成26年度はCD4陽性通常型樹状細胞(CD4+cDCs)に特徴的に発現する分子であるDCIR2の機能解析を行った。具体的にはWTマウス、DCIR2欠損マウスの免疫組織(脾臓、リンパ節)から分離したCD4+cDCsについて以下の機能について比較検討した。 はじめに、各種TLRリガンド(LPS、CpG、poly I:C等)刺激によるサイトカイン産生を比較検討した。WT CD4+cDCsと比較して、DCIR2欠損 CD4+cDCsはサイトカイン産生(IL-12p40、TNF-a、IFN-b)が増強していた。次に、これらCD4+cDCsによる抗原特異的T細胞機能制御能を比較検討した。また、CD4+T細胞、CD8+T細胞は卵白アルブミン(OVA)特異的TCRを有するトランスジェニックマウスであるOT-IIマウス、OT-Iマウスより調整した。その結果、WT CD4+cDCsと比較して、DCIR2欠損 CD4+cDCsでは抗原特異的T細胞活性能には差異は認められなかった。一方、TLRリガンドの刺激により活性化させた状態では、WT CD4+cDCsと比較してDCIR2欠損 CD4+cDCsではナイーブT細胞からのIFN-γ産生TH1細胞、IL-17産生TH17細胞の抗原特異的分化誘導能が増強していた。 以上の結果から、DCIR2はCD4+cDCsのTLRリガンド刺激による活性化を抑制することが考えられた。
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