平成27年度ではDCIR2欠損マウスの炎症反応および抗原特異的T細胞免疫応答について検討した。具体的には野生型(WT)マウス、DCIR2欠損マウスにTLRリガンド(LPS、CpG、poly I:C)を投与し、投与後経時的に血清中サイトカイン産生を ELISA法にて測定するとともに炎症性致死率を計測した。さらに、WTマウス、DCIR2欠損マウスに抗原を免疫し、抗原特異的T細胞免疫応答(CD4+T細胞の増殖能、IFN-g産生TH1細胞の生成、MHCクラスI-OVAペプチドテトラマー結合、IFN-g産生CTLの生成)の比較検討を行った。 その結果、WTマウスと比較して、DCIR2欠損マウスではTLRリガンドの投与後の血清中サイトカイン産生(Il-12p40、TNF-a、IFN-b)が著しく増強していた。さらに、DCIR2欠損マウスでは炎症性致死率もWTマウスと比較し増悪していた。一方、抗原免疫後のT細胞免疫応答についてWTマウスと比較して、DCIR2欠損マウスではCD4+T細胞の増殖能やIFN-g産生TH1細胞の生成とともにMHCクラスI-OVAペプチドテトラマー結合およびIFN-g産生CTLの生成が顕著に亢進していた。 以上の結果から、DCIR2はCD4+cDCsのTLRリガンド刺激による活性化を抑制すことが考えられた。
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