研究課題/領域番号 |
26860342
|
研究機関 | 沖縄科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
石川 裕規 沖縄科学技術大学院大学, 免疫シグナルユニット, 准教授 (30648621)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 自己免疫疾患 / Th17 |
研究実績の概要 |
本研究では、自己免疫疾患に深く関与するIL-23依存病原性Th17細胞の分化制御機構を理解することを目的として、IL-23刺激により発現が増強される遺伝子の探索を行ない、転写因子IL-23TF1を見出した。In vitroにおいて誘導した各種effector CD4 T細胞サブセットの解析の結果、IL-23TF1はTh1とTh17において特異的に誘導され、Th17におけるその発現がIL-23により増強されることが示された。また、Th17レポーターマウスを用いた解析より、in vivoにおいて誘導されたTh17においてもIL-23TF1の高い発現が認められた。さらに、既知のTh1、Th17分化制御転写因子のノックアウト細胞を用いた解析により、IL-23TF1はTh1においてはSTAT4に、Th17においてはSTAT3に依存し発現誘導されることが示された。続いて、IL-23TF1の生理的意義を解明するために、IL-23TF1のT細胞特異的ノックアウトマウス (IL-23TF1 T-KOマウス)の作製を行った。IL-23TF1 T-KOマウスのT細胞の発生に異常は認められず、脾臓、リンパ節において、野生型マウスと同程度のCD4およびCD8 T細胞が確認された。現在、このIL-23TF1 T-KOマウスを用いた解析を開始しており、今後IL-23TF1のTh17分化における意義およびその制御メカニズムを明らかにすることを目指す。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、IL-23TF1のノックアウトマウスの作製に成功し、IL-23TF1の機能を解明するための強力な実験材料を得た。
|
今後の研究の推進方策 |
今後はIL-23TF1のノックアウトマウスを用いて、IL-23TF1のTh17およびTh1分化における機能および、作用メカニズムの解明を目指す。具体的にはin vitroで分化誘導するTh1およびTh17においてIL-23TF1により制御される遺伝子群を、マイクロアレイ解析および、クロマチン免疫沈降解析により明らかにする。さらにin vivoの解析として、IL-23TF1 T-KOマウスの実験的自己免疫疾患 (EAE) への感受性をコントロールマウスの場合と比較する。さらにその際のTh1およびTh17の挙動を調べ、IL-23TF1の自己免疫疾患における役割を明らかにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
端数(20円)です。
|
次年度使用額の使用計画 |
20円の端数が発生しましたが、2015年の予算と合わせて有効的に活用いたしたいと思います。
|