刑事裁判において、脳神経科学的証拠―とりわけ機能的核磁気共鳴画像(fMRI) や脳波(EEG)―が刑事的責任に与える(もしくは与えうる)影響について概念的分析を行った。じっさい、暴力性にかかわる遺伝子の異常により減刑された判例があるが、国際的に見て神経科学的知見の法的証拠能力は大きくなく、むしろ法廷での誤解を生む可能性が十分にある。 国内においても裁判員裁判が定着しつつある現在、1)一般人である裁判員に対するリテラシーの向上および2)神経科学的証拠の信頼度を決定する法律家の理解度の向上が急務とされている。本研究ではその予備的な論点の抽出・整理を行った。
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