研究課題
本研究は、質的研究手法を用いて、専門職連携教育(IPE)で医療系学生での学びや専門職連携実践(IPW)に対する認識【研究項目A】と、IPWを通して医療者が専門職アイデンティティーを(再)構築させていく過程【研究項目B】について明らかにした。最終年度では、2014年-15年度に収集したインタビュー及びポートフォリオの分析結果に対する理論的考察を試みた。卒前教育に係わる【研究項目A】では、米国で開発された「専門職連携実践のための連携コア・コンピテンシー」を分析的枠組みとした。卒前IPEで得られた学びでは、チームとチームワーク、コミュニケーション、役割と責任のカテゴリーが抽出された。一方で、先行文献にある価値観と倫理は、医療系学生のポートフォリオの記述内容にはあまりなかった。これは、価値観と倫理が医療現場の経験を通して醸成される場合が多いためだと考えられた。そのため、シミュレーション教育手法の活用や臨床実習にIPEを導入する教育の開発が今後の課題となる。また、役割と責任のカテゴリーでは、専門知識の共有や主体的学習能力、科学的追究を重視する学生が多く、卒前のうちから研究を基盤にした教育が必要であることも示唆された。卒後教育・医療実践に係わる【研究項目B】では、「包括的患者ケアの目的を共有し、各専門分野の知識や技能を持続的な相互行為を通じて深めていく集団」である実践共同体を理論的枠組みとした。本研究の対象者である歯科衛生士は、IPWにおいて自身の専門職と連携者の2つのコミュニティーを行き来する意識がみられた。特に、専門職連携では、個人レベル、チームレベル、組織レベルで各々難しさを感じていたが、IPWのコミュニティへの参加を通して、歯科医療だけでなく全人医療の重要性や歯科医療者としての責任、IPWができる後進の育成、多職種チームでのリーダーシップなどを強く意識するようになっていった。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件)
保健医療福祉連携:連携教育と連携実践
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Council on Undergraduate Research Quarterly
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Interdisciplinary Journal of Problem-Based Learning
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10.7771/1541-5015.1648