本研究は、医療における専門職連携が重視される状況で、医療者が専門職連携者としてのアイデンティティーをどのように形成していくかを探索的に解明した。卒前教育では、コミュニケーションやチームとチームワーク、役割と責任など、専門職連携に必要な基本的コンピテンシーを段階的に獲得する学生の姿を記述した。また、卒後の医療実践では、専門職連携に従事する医療者が困難を乗り越え、新たな医療人としてのアイデンティティーを形成した経験を記述した。卒前教育の学生の認識と卒後の医療者の経験の語りという2つの研究アプローチから得た調査結果は、卒前と卒後をつなぐ専門職連携教育の開発に寄与するものである。
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