研究課題
造血細胞移植前後に用いられる、分子標的薬を含む抗がん剤・免疫抑制剤・抗ウイルス薬・抗真菌症薬には、未承認薬が多く存在することから、必要な薬剤が国内では使用できないドラッグラグが臨床において問題となる。本研究は前向き登録に基づいた造血細胞移植のレジストリデータを用いて、未承認薬や適応外薬剤に関する造血細胞移植前後の使用状況の網羅的集計を行い、ドラッグラグが本邦の造血細胞移植治療および移植後合併症の治療に与えている影響を明らかにすることを目的とした。データ利用に関して造血細胞移植登録一元管理委員会の承認を得た上で、名古屋大学の倫理審査を経た。2013年までに実施された造血細胞移植症例において、コード化または自由記載で収集された薬剤情報に関するデータから、2001年以降に承認された抗がん剤と抗ウイルス薬のデータの抽出を行い、薬剤の使用件数の集計を行った。再生不良性貧血に対する臍帯血移植と非血縁者間骨髄移植の成績を比較し、移植前治療の抗がん剤および免疫抑制剤の種類等の背景因子が移植成績に与える影響について解析を行い、死因の分類を行った。免疫抑制剤の種類が好中球生着率に、移植前治療のレジメンが急性移植片対宿主病の発症率に影響を与えることが明らかとなった。結果は日本血液学会の口演に採択された。日米レジストリの共同研究に参加し、造血幹細胞移植方法および人種間の成績について検討を行った。移植成績の差が明らかとなり、論文にて報告した。造血細胞移植レジストリーのデータの質管理の方法に関して、日米の違いを含めた検討を行い論文にて報告した。
3: やや遅れている
造血細胞移植データ1200項目から薬剤データの変数を確定し、データの抽出およびクリーニングを行ったうえで薬剤使用状況の集計を行った。再生不良性貧血に対する造血細胞移植成績の解析についての論文を投稿中であり、研究は進展している。平成28年1月から3月まで産前産後休暇及び育児休暇を取得を行い、研究期間の延長を行った。
平成27年度に集計した薬剤データの結果とドラッグラグに関する解析を進め、疾患および移植の種類ごとに分類して検討を加える。再生不良性貧血に対する移植成績の解析結果について論文の投稿を行う。
当該年度は、平成28年1月から3月まで産前産後及び育児休暇取得のため学会への参加が困難であり、論文投稿が終了しなかったため、必要な経費を次年度に繰り越すこととした。
追加の解析、旅費、および論文投稿に必要な経費に使用する。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)
International journal of hematology
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