研究課題
本研究では前向き登録に基づいた造血細胞移植レジストリのデータを用いて、造血細胞移植前後の未承認薬や適応外薬の使用状況に関する網羅的集計を行い、ドラッグラグが本邦の造血細胞移植治療に与える影響を明らかにすることを目的とした。今年度は以下の成果を得た。1. 造血細胞移植レジストリに登録されている同種造血細胞移植39,144症例を対象とし、薬剤情報に関するデータを検討した。急性移植片対宿主病(GVHD)および慢性GVHDに対する治療に用いられた免疫抑制剤のデータクリーニングと薬剤のコード化を行い、未承認薬・適応外使用薬の件数を集計した。急性GVHD第一治療にはベクロメタゾンプロピオン酸エステル、急性GVHD第二治療と慢性GVHDにはミコフェノール酸モフェチルが最も多く使用されていた。GVHD治療全体では、上記の薬剤に加えて、インフリキシマブ、エタネルセプトが多く用いられた。GVHDに対して多数の未承認薬・適応外薬が使用されており、未承認薬・適応外薬の使用情報は、予後解析研究での使用に加えて、厚労省の未承認薬・適応外薬検討会議等への活用などドラッグラグ解消に向けた取り組みにも活用可能であることが示唆された。2.造血細胞移植レジストリを用いて再生不良性貧血に対する臍帯血移植と非血縁者間骨髄移植成績を比較し、移植前治療や免疫抑制剤が移植成績に与える影響を含む解析を行い、生存率、GVHD発症率の算出と死因の分類を行った。8/8一致非血縁者間骨髄移植の死亡リスクは、臍帯血移植と比較して低いことが多変量解析において示された。成果を論文で報告した。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
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