研究課題/領域番号 |
26860347
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西山 知佳 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40584842)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 費用対効果 / 心肺蘇生法教育 / AED / 病院外心停止 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、心肺蘇生教育および自動体外式除細動器(Automated External Defibrillaor, 以下AED)の費用対効果分析を行い、地域の健康安全の視点による、心肺蘇生教育およびAED設置の戦略的方策を明らかにし、救命率の向上に寄与することを最終目標とする。本研究は、京都大学医学研究科・医学部 医の倫理委員会で実施の承認を得た(承認番号E1397-3)。 費用対効果検証の妥当性は、モデルの構築に大きく依存するといわれている。初年度のH26年には、まず蘇生科学、経済学、疫学の専門家との意見交換の場をもち、精巧なモデル構築のために、どのような臨床データ項目と費用データ項目が必要か、さらにそれらのデータ収集が可能か実現可能性を踏まえて検討を行った。今回の研究デザインの一番の特徴は、臨床データも費用データも全て日本人のデータを利用することである。先行研究では、海外の臨床データを外挿したり、費用データも概算で算出されており十分実情を反映しているとは言えない。そこで、費用データに関しては、本研究活動に賛同を得た病院へ、搬送された心停止患者の医療費データを新たに収集するため、大阪府下13の救命センターへ本研究の趣旨説明に行き賛同を募った。2015年3月末時点で、13施設中8病院で同意を得られ、7病院はすでに倫理委員会に研究実施の承認を得ることができている。次年度は、残りの1施設から倫理委員会の承認を得て、揃ったところで医療費のデータ収集の開始と解析を行う予定をしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データ収集の実現可能性を考慮した、費用対効果モデルはおおむね完成し、当初の予定通りH27年度は各病院から医療費のデータを集める準備が整った。蘇生科学、経済学、疫学の専門家との議論の結果、7-8施設から合わせて120名分の医療費データを集めることになった。 病院での医療費以外に、心肺蘇生法教育、AED設置、救急隊処置、退院後介護費用も必要になってくるが、退院後介護費用以外はデータを収集することができた。 よって、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
H27年度、主に実施することは、7または8病院から医療費データの提供を依頼し、モデルに必要なデータを算出することである。蘇生科学、経済学、疫学の専門家との議論の結果、120名分の医療費データを集めることになった。医療費のデータを扱っているのは各施設の医事課であり、この部門との連携が不可欠なってくる。通常業務に支障がでないように配慮するために、各施設の要望を確認して可能な限り対応する予定をしている(例:データ提供の方法、時期など)。 心停止患者の医療費を検討した論文はなく、今回のデータ収集と解析は今後のこの領域における費用対効果研究の基礎データとなると期待されているため、まず費用データに関するもので学会発表や論文発表することを考えている。費用となる費用データを出すことで、蘇生領域の費用対効果研究が発展すると考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
情報収集のための学会旅費や学会参加費を見積もっていたが、本研究とは別の研究課題の発表を行った際に、そちらの助成金で対応したため。目的としていた情報収集は行えた。
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次年度使用額の使用計画 |
H27年度の学会旅費および学会参加費に使用予定。
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