研究課題/領域番号 |
26860353
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮路 天平 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (70709568)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | コンパッショネート・ユース制度 / CU制度 / 未承認薬 / 品質管理 / アクセス / 有害事象報告 / カンナビノイド / 医療大麻 |
研究実績の概要 |
コンパッショネート・ユース制度(CU制度)は、重篤疾患患者や治療法が未確立の難治性疾患の患者を対象に、未承認薬へのアクセスを可能にさせる公的制度である。平成27年度は、CU制度における1)未承認薬の品質確保と管理供給体制、2) 未承認薬の使用で発生した有害事象の報告体制と評価体制、3) 未承認薬使用に関する臨床データの研究利用のための報告体制について、米国における医薬大麻を含むカンナビノイド医薬品のCU制度を事例研究の対象として調査を進めた。 米国においては、1976年から連邦政策により、医療大麻のCU制度が開始されたが、1991年には募集が終了した。1990年代後半以降は、州法によるCU制度が広がり、2015年9月時点では、24の州とコロンビア特別区で運用がなされている。CU制度の設立経緯と広がりの歴史については、日本薬史学会2015年会において、研究発表を行った。品質管理体制については、患者支援団体、医師、カンナビノイド研究者を中心に第三者認証制度の枠組みが構築されている。医療大麻の栽培農場、加工工場、試験所、供給所に対して、品質管理基準を設けており、平成28年度に調査結果のまとめ、報告を行う予定である。 本邦においては、大麻から製造された医薬品の臨床使用は、1948年に制定された大麻取締法第4条において例外なく禁止されており、この規制の設立経緯の調査を行い、調査結果を論文化した。(Miyaji et al. Cannabis and Cannabinoid Research. 2016, 1(1): 31-37.)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究課題の研究活動に当初予定した時間を十分にさけなかったことが遅延の主な理由である。そのような状況のなかでも、国内学会での口頭発表1回、国際雑誌への査読論文の掲載を1篇行い、本研究課題で実施した調査内容を断片的に報告することができた。 研究期間の1年間の延長申請が承認されたため、平成27年度に実施できなかった実地調査、調査結果のまとめ、主たる研究結果の報告等を平成28年度に実施する。
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今後の研究の推進方策 |
事例研究において、品質管理体制における第三者認証制度の運用実態調査や有害事象報告体制の整備状況を引き続き調査する。国内外の医薬政策、法医学、カンナビノイド研究、臨床試験データ管理や生物統計の専門家らからの意見を聴収しながら、残りの研究を進めていく。研究計画書の見直しを行い、平成28年度に調査結果をまとめ研究報告を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27度中に予定していた実地調査や主たる研究結果の報告が平成28年度に持ち越されたため、その費用として計上されていた予算が未使用となった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は新たな研究費の配分はなく、平成27年度から持ち越された研究費を平成28年度分の研究活動に充てる。
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