研究課題
本研究は、ハイドロダイナミック法(HGD)を用いた遺伝子治療法を構築するため、申請者らが開発した、新規HGDシステムの安全性、有用性、再現性をイヌを対象として検証することを目的としている。平成28年度の本研究助成基金助成金によって、以下の研究成果が得られた。1.平成28年度は、26年度、27年度の成果に基づき、新規HGDシステムとバルーンカテーテル挿入による肝臓区域特異的なHGDのコンビネーションによるhuman factor IX (hfIX)遺伝子導入の長期発現性、機能評価、生物学的な安全性の評価を行った。具体的には、実験用雑種イヌに対して、最適な時間-内圧曲線で新規HGDシステムによるhfIX発現プラスミドの肝臓特異的HGDを行い、イヌ血中hfIX濃度、凝固活性の変化、組織学的な検証を行った。その結果、イヌを対象として、新規システムによりhFIX発現プラスミドのHGDを行った場合、30日以上にわたり血友病Bに対する治療域の遺伝子発現、凝固活性の上昇が確認され、遺伝子治療効果が示された。2. 以上の結果に基づき、米国ノースカロライナ大学、ジョージア大学との国際共同研究によりイヌ血友病のHGDによる遺伝子治療を開始することが可能となった。3. 上記の検討の過程で、研究協力者の尾田教授の協力を得て、29年度に予定していたシステムの改良を同時に行うことができた。以上より、本研究助成により、新規HGDシステムによる遺伝子治療の前臨床研究に向けた、学術的基盤の検証が可能であった。上記の円滑な研究進捗状況と当初、平成29年度に計画していたシステムの改良を先行することができたことから、HGDを臨床に応用するための段階的な検証の次のステップとして、疾患治療への有効性の検証が必要であると考えた。
すべて 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
Mol Ther Nucleic Acids
巻: 5 ページ: e359
10.1038/mtna.2016.63.
World J Gastroenterol
巻: 22 ページ: 8862-8868
10.3748/wjg.v22.i40.8862