研究課題/領域番号 |
26860356
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
梶本 まどか 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (30610878)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | West症候群 / Visinin like protein 1 / ACTH療法 / 難治てんかん / 発達遅滞 |
研究実績の概要 |
対象と方法:ウエスト症候群の患者は当教室でこれまでの病態研究の報告の際に登録された,1998年3月から2008年8月の間にACTH療法のために山口大学医学部附属病院に入院した患児26人(男児10人,女児16人,年齢の中央値8.7か月)で,今後,本研究に保護者の同意が得られた児に限り,髄液および血清中のVILIP-1濃度をELISAキットを用いて測定した.血液・髄液検体量は各々0.5 ml程度で解析可能である.研究のために検体採取は行わず,検査の過程で採取した検体の残量を用いて測定した.ウエスト症候群は,スパズムと互換性を持つ脳波の調査結果によって臨床的に診断された患児とした.入院時に頭部MRIまたは頭部CT,脳波,発達検査,退院した対象症例の発達予後,脳波,てんかんのコントロール状況を検討した.小児の対照群は,良性乳児けいれんなど発作予後,神経予後が正常とされる患児で当教室の過去の報告で正常対照群として測定した.各種検査の評価方法は1.脳波:ヒプスアリスミアの有無,消失の程度,その他突発波の有無,基礎波の程度(紡錘波の出現の有無,背景波の評価)で評価を行った.2.頭部MRI:髄鞘化の程度,皮質形成異常や脳奇形の有無,萎縮の有無(萎縮の部位も)などで評価を行った.3.発達検査:遠城寺式乳幼児発達検査,田中ビネー,WISC-Ⅲなどで評価を行った.4.発作コントロール状況:ACTH療法前後で改善の比率で評価した.結果:26例全例でVILIP-1濃度の上昇は認められなかった.ACTH療法の前後で比較した検討でも全例で測定感度以下だった。対照群も全例測定感度以下だった.その後の発作コントロール,脳波,発達の重症度との相関も認められなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
先行研究でWest症候群の髄液tau蛋白脳青が対照群に比し上昇していたため、よりpredictive markerになりうる可能性を予測してVILIP-1濃度を測定したが、重症度にかかわらず全例で濃度上昇が認められなかった。よってVILIP-1はpredictive markerとしては用いることが出来ないと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
VILIP-1以外のbiomarkerでpredictive markerになりうる可能性のあるmarkerの測定を行う。
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